まひるside

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 みやこのマンションに行くと、玄関には男物の黒い革靴があった。


 今日、出版社はお休みなのかな。明日出直そう。


 そう思った矢先、みやこの部屋のドアが開いた。下着姿のみやこに、同性ながら思わずドキッとする。


「ごめんなさい」


「まひる!お帰り。ほら、上がって上がって」


「でも……」


 玄関の革靴に視線を向ける。


「何遠慮してんのよ。今シャワー浴びるから、上がって待ってて」


 みやこが下着姿だということは、彼が泊まったということ。すなわち彼とのよりが戻ったということになる。

 素早く荷作りしてここから脱出しなければ。


 焦る気持ちで自分の部屋に入り、キャリーバッグやボストンバッグに洋服を詰める。入りきらないものは、段ボール箱に詰めた。


 布団はみやこから借りたもの。シーツをはがし、綺麗に畳んで部屋の隅に置く。


 部屋のドアを開け、掃除機をかけ床を拭く。わずか三畳。掃除はあっという間に終わる。


「まひる、出て行くの?仕事や住まいはあるの?まさか、ずっとネットカフェに泊まる気じゃないよね?」


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