165

「……そうかもしれません。でも、一人暮らしをするのは怖い……。もし店長が……保釈されたら。そう思うと怖くてたまらない……」


 彼女の不安を考えると、俺も彼女を一人にすることは出来ないと思った。


「わかった。もう一度あの小説を書いてみよう。君のアドバイスが欲しい。女性のリアルな気持ちが、俺にはわからないからな」


「はい。宜しくお願いします」


「二階はどの部屋にする。以前宿泊した部屋よりも、広くて小綺麗な部屋はいくらでもある。好きな部屋を使うがいい」


「いえ、前回と同じ内鍵つきの部屋をお願いします……」


 内鍵つき?やはり、そうだよな。


 監禁され、怖い思いをしても。

 この屋敷では、自ら鍵を掛ける。


 女心は……

 やはり未知の領域。


 俺はこの現実を、どう捉えればいいのだろう?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る