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 一瞬、その眼差しに体が凍りつき、恐怖から足がすくんだ。


 でもこのチャンスを逃したら、私は一生籠の鳥。


 勇気を振り絞り口を開くが、その声は震え涙が溢れる。


「助けて……下さい。私、騙されてここに連れて来られました。監禁されています」


「監禁?君、女性はそう言っているが、事情を聞きたいので署まで任意同行願えますか」


 隣室のドアが勢いよく開き、男性が「ヤベッ」と叫んで、警察官から逃れるように裸足で飛び出した。


 警察官の一人が、逃げる男を追い、廊下で羽交い絞めにして取り押さえる。


「このフロアは全て君が所有しているのか?」


「ちげぇよ、俺はただの見張り役だ。所有者はそこの社長だ!」


 男は店長を指差し、社長と叫んだ。


「見張り役?どういう意味だ!」


「女が逃げ出さねぇように、見張ってたんだよ」


 その男の証言によると、他の部屋は通称覗き部屋となっていて、部屋で寛ぐ女性の生着替えや淫らな姿を盗撮し、動画は盗撮サイトで有料配信されていた。


 だが、盗撮とは名ばかり、その部屋の女性達はインターネットで配信されることを承知の上で、店長と契約を結び高額な報酬を得ていたのだ。

 その女性達の管理と動画を配信する作業を担当していたのが、逮捕された男だった。


 私のいた部屋に隠しカメラはなく、この部屋の存在は盗撮サイトで働く女性達も承知していて、社長が女を閉じ込め飼い慣らすための密室、通称『鳥籠』と呼ばれていたらしい。


『鳥籠から、何日で小鳥が逃げ出すか、それとも僕の手に堕ち愛人となるか』


 店長は複数の女性を監禁しては、時に盗撮サイトで働く女性達と賭けをして楽しんでいたという。性的な欲求を満たすよりも、極限状態に追い込まれた女性の姿を見て快楽を得るという、異常な性癖を持っていた。



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