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「悪いことは言わない。店長とは別れるんだな」
「お客様、乱暴したら大声出しますよ」
「乱暴などしないよ。俺の手が痛むからな。派遣先の上司と着任早々深い仲になるのは、如何なものか。噂は怖いものだ。すぐに派遣会社も解雇されるだろう」
「……ま、待って下さい。やっと採用してもらえたの。解雇されては困るわ」
「ならば、教えてくれ。店長の隠れ家はどこだ?自宅以外に隠れ家があるはずだ。深い仲ならば知っているだろう」
「隠れ家……?店長はKAISEIグループの御曹司だから、私に目黒のマンションの一室をプレゼントしてくれるって……。それが隠れ家かな」
「目黒のマンション?それは何処にある?」
「目黒の……ホワイトバードマンションです。三階の全フロアは店長が所有していると聞きました。あの……あなたは誰ですか?」
「俺か?俺は正義の味方、群青色だ」
「えっ?群青色?……私から聞いたことは店長に絶対言わないで下さい。私と店長のことも誰にも口外しないで下さいね」
彼女は変質者を見るみたいに眉間にしわを寄せ、俺から逃げるように走り去る。
重要なヒントを得た俺は、もう女性店員に用はない。
目黒のホワイトバードマンション……。
彼女はそこにいるはずだ。
もしかしたら、鳥籠には沢山の人が閉じ込められているのかもしれない。
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