直人side

149

 

 桃色からの返信を見て、俺は桃色が彼女だと確信した。


 ――【私は籠の鳥。鳥籠の扉は閉まっている。】

 彼女が何処かに監禁されているのだとしたら?


 安否を知らせる携帯電話のメールは……

 別の誰かが打っていることになる。


 やはりあの赤い携帯電話は、彼女の物だ。

 だから、あのストラップが……。


 必ず彼女の居場所を突き止める。彼女を監禁した証拠を掴み、店長を警察に突きだしてやる。


 担当から貰ったストラップを掴み、俺はスーパーKAISEIに向かった。


 用意周到な奴のことだ。

 上手くかわされ逃げられるかもしれない。


 どうすれば、いいんだ。


 ……尾行。


 そうだ、店長を尾行すればいい。


 KAISEIに着くと、店長の姿はなかった。新人の派遣社員を見つけ、問い質す。


「君、店長は?」


 彼女の首筋には赤い内出血。どう見てもキスマークにしか見えない。


「店長は不在です。今日は正午にならないと出勤されません」


「君、店長と付き合ってるんだろう。証拠は掴んでいるんだよ」


「……っ」


 証拠など何ひとつない。ただのハッタリだ。


 だが彼女は一瞬怯み後退りした。どうやら図星だったようだ。

 俺は彼女の手首を掴む。


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