144
……店長は異常だ。
ねっとりとした眼差しに背筋も凍る。
「まだ僕の手に落ちないのか。僕のものになりたくないのか」
「……店長……もう少し時間を下さい」
「聞き分けのない子だね。別の小鳥はすぐにでも手に入る。愛人契約を結べば高収入を得るチャンスなのに。それも全て君次第なんだよ」
店長は食材の補充を止め、冷蔵庫に残っていた僅かな食料を取り出し、ビニール袋に入れ始めた。
「店長……ごめんなさい。私が悪いの。それだけは……勘弁して下さい」
「お腹が空いているのか?君は僕がいないと飢えてしまうからね。その艶やかで美しい肌も、栄養バランスが崩れると、枯れてしまう」
「……店長、本当にごめんなさい」
「僕は君に潤いを与えてあげると言っているのに、君はまだ僕を理解していない。僕の愛人になれば物欲も性欲も満たしてあげるのに」
「……っ」
不意に唇を奪われそうになり、思わず顔をそむけて拒んだ。
「それが答えなんだね。焦らされるとゾクゾクするよ。仕方ない、今夜はこのまま帰るよ。食事はおあずけだ」
店長は食材の入ったビニール袋を掴み立ち上がる。
「店長……それだけは。お願い……私に食料を下さい」
「そんなに欲しいのか?」
狂気に満ちた眼差し。
「欲しければ、素直に従うんだな」
店長は私の目の前に袋をぶら下げ、私が両手を差し出すと、その袋を目の前から奪い去った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます