まひるside

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 あれから三日が経過した。

 群青色からの返信はない。


 私のSOSは……

 彼に伝わらなかった。


『KAISEI』と打ち込むのは【NGword】。だから『晴れの日』と入力したが、その真意も通じなかったみたい。


 群青色の職業はサラリーマン。あの文面から只野さんだと思っていたが、どうやら別人だったようだ。


 世の中……

 そんなに狭くはない。


 群青色が只野さんのはず、ないんだ。


 ガチャンとドアが開き、思わず身構える。


「……店長」


 店長はすぐさま冷蔵庫の扉を開け、中身とゴミ箱に視線を向けた。


「随分食したね。新しい小鳥は食欲旺盛なようだ。食料を補充してあげよう」


「ありがとうございます。手伝います」


 ビニール袋に手を伸ばすと、手首を掴まれた。全身がゾクッとし、顔を俯かせ怯える。


「……店長、どうか乱暴なことは」


 店長は私の耳に唇を這わせた。瞼をギュッと閉じじっと我慢する。


「新人の派遣社員が入ったんだ。素直で可愛い子だよ。色白でいいカラダをしている」


「……っ、そうですか」


「でも新人は尻軽でね。僕はなかなか手に入らないものが、僕の手に落ちる瞬間にぞくぞくするんだ。すぐに手に入るものはつまらないだろう」



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