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「編集長と私は愛人契約を結んでいるんです。私は編集長が好きだったから、関係を続けた。愛人契約は編集長の罪悪感を軽減するために、仕方なく応じました。でも……奥様の元に戻る編集長との関係が辛くて、他の人と寝たこともあります……」


「愛人契約?さらに他の男と一夜のアバンチュールを重ねたのか」


「それは一夜限りの割り切った大人の関係。酔った上でのこと……」


「一夜限りでも、浮気したことに変わりはないだろう」


「そうでもしないと、心が壊れてしまいそうだったから。編集長は只野先生のプロローグと第一章の原稿を読み、私達のことだと勘違いし憤慨したんです。確かに小説の主人公の行動は編集長と酷似していることは否定しません」


「成る程、偶然とは恐ろしいものだな」


「性描写までそっくりだと言うのよ。でも、私は自分から『抱いて……』なんて、一度も言ってませんからね」


「そんなこと、俺は知らん」


「それで、誠に残念ですが、pamyuの連載は他の先生の作品を掲載することとなりました」


「なんだと!?」


「只野先生には大変申し訳ありませんが、今回は掲載を見送り、一旦契約解除させていただくということになりました。只野先生、すみません!」


 担当はいきなり床に跪き、俺に土下座した。

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