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ファミレスで食事を堪能し、俺は担当のマンションに向かった。
当然、彼女は帰宅していない。
「只野先生、リビングでお待ち下さい。ストラップ探してきます」
キッチンには彼女のものと思われるセンスの悪い珈琲カップやエプロンが残されたままだった。確かにセンスは悪いが、彼女の料理は懐かしいお袋の味がした。
もし彼女に逢えたなら、もう一度あの味噌汁が飲みたいものだ。
「ありました。只野先生、これがまひるの作ったストラップです。差し上げますよ」
灰色と紫色と黄土色のビーズ。やはり数珠にしか見えない。センスがなさすぎる。でもKAISEIの店長が持っていた携帯電話についていたストラップと形はよく似ている。彼女が店長にプレゼントしたのだろうか。
そう言えば……
彼女の携帯電話も赤だった。
「このストラップは、遠慮なくいただこう」
「只野先生、飲みますか?」
担当はコップを持つポーズをし、クイッと飲む振りをした。
「飲むとは?」
「ビールですよ。実は今日サイコーに飲みたい気分なんです。むしゃくしゃして腹がたつの」
「原因は一樹か。付き合うよ」
担当は冷蔵庫からビールを取り出し俺に渡した。
グラスもなく缶のままだが、無料だから文句は言えず、そのまま栓を開け口をつける。
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