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担当はがさがさとバッグの中を漁るが、残念なことにストラップは見つからない。
「ストラップなら、マンションにあると思います」
店員がオーダーした品をテーブルに並べる。
「ご注文は全てお揃いですか?」
「問題ない」
「どうぞごゆっくりお召し上がり下さい」
担当はすぐにフォークとナイフを掴み、ステーキを切り分けると豪快に食い始めた。まるで血に飢えた獣みたいだ。
「これを食ったら、君のマンションに寄らせてもらう」
「只野先生、一度あんなことがあったからといって勘違いしないで下さい。頻繁にマンションに来られては困ります」
「君こそ勘違いするな。俺は彼女のストラップを見たいだけだ」
「とか言っちゃって。下心ありありなんだから」
「バカにするな。俺は女に不自由はしていない。どうしても確かめたいことがあるんだ」
「わかりました。ではお話の続きも、ここでは落ち着かないのでマンションでいたします」
「わかった。では食事をいただくとしよう」
セシリア社から原稿料が入らなければ、外食なんて当分出来ないかもしれないな。貧乏生活には慣れている。それも致し方ない。
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