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 ーファミレス、花園ー


 店内は家族連れと学生ばかり。騒々しくて、俺が最も苦手とする場所だ。


「只野先生、実はですね」


「第一章を書き直せと?」


「いえ……そうではなく……」


「君、謎解きだ。【晴れの日に天の兆しに注意】とは何だ?」


「晴れの日に天の兆しですか?何かの宗教の勧誘でしょう。私、宗教には興味ありませんから」


「やはり、そう思うか。喉に小骨が刺さったみたいに、妙に引っかかるんだ。今日もセシリア社の接待だよな。遠慮なく食事させてもらう」


「わかりました。今日は打ち合わせということで、経費処理します。もしも【晴れの日に天の兆しに注意】が謎解きならば、只野先生の方がお得意でしょう」


「あれは何かのメッセージではないかと……」


「そうかしら。単なる勧誘か、占い師の予言?晴れた日に突然ゲリラ豪雨になるとか、そんな単純な予言かも」


「成る程。ゲリラ豪雨か。あいつは天気予報士だったのか」


 担当はテーブルの上に封筒を置く。


「只野先生、前回お預かりした原稿ですが、申し訳ありません。お返しします」


「やはり書き直しか。やむを得ない。どこがつまらない」


「それが……ですね。はっきり申し上げますね」


 まさか全部だという気か?


「お客様、ご注文はお決まりですか?」


 店員が話の腰を折る。


 俺は和定食、担当はステーキセット。経費で作家より高い料理を頼むとは、したたかな女だ。



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