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彼女が世田谷にフラリと戻るかもしれない。
そんな期待から、用もないのに駅前をブラブラする。
「只野先生、どうしました?何か落とし物でも?」
背後から声をかけられ、振り返ると担当だった。俺が歩いていると、落とし物を探しているようにしか見えないのか。
「君か、彼女から連絡はあったのか?」
「はい、一日一回必ずメールがきます。今日もついさっききましたよ」
「そうか」
「でも文面はいつも同じ【元気だから心配しないで。】いい加減電話に出ろって感じですよね」
「電話には出ないのか?」
「はい、一度も。私避けられてるのかな。只野先生、実は……大切なお話があります。お宅にお邪魔する予定でしたが、駅前のファミレスでお時間をいただけませんか?」
「話?一樹のことか?一樹と別れ、俺に乗り換える話ならば断る」
「……っ、私にその気は全くありませんから、ご心配なく」
担当は気まずそうに笑っている。俺が書いた第一章はやはりボツだというのか?
恋愛小説はミステリーよりも難しい。
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