134

【また来てね。桃色】


 桃色はツンデレ女か。


 晴れの日……

 天の兆しに注意。


 桃色の意図がわからず、家を出てうろうろと周辺を散歩する。


 ――スーパーKAISEI。

 新顔の女性と店長が、店内で何やら親しげに話している。


 彼女よりも若くて美しい女性だ。男は若い女にすぐ尻尾を振る。

 中年男が目尻を下げ、若い女性店員の尻を触った。


 あの店長、人をストーカー呼ばわりしたくせに、自分は女性店員にセクハラをしているのか。


 最低な人間だな。

 彼女はこの店を辞めて、正解だったのかもしれないな。


 女性店員が立ち去ったあと、店長は店の裏口へと向かう。気になった俺は、店長のあとを隠れて追った。


 店長はポケットから赤い携帯電話を取り出した。中年男が赤い携帯電話、しかも地味な配色のビーズのストラップ。


 まるで数珠のようだ。

 趣味が悪すぎる。


 時計に視線を向けると、午後七時五十分。KAISEIはもうすぐ閉店だ。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る