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「編集長……。お互い束縛しない約束だわ。今は仕事を持ち出さないで」


「君が違反を犯したからだ」


 担当と一樹は口論している。これは編集長と部下の会話ではない。明らかに男と女の会話だ。


「一樹、俺は担当とは寝ていない。いや、同じベッドで寝たが抱いていない」


「この期に及んでまだシラを切るのか」


「それより、お前こそ編集長でありながら、担当とどういう関係だ?合鍵を持つ関係なのか?下着姿の彼女を見ても動じないということは、そういう関係を認めたも同然。だが、お前は既婚者のはず」


「……っ」


 一樹は言葉を詰まらせ、担当に視線を向ける。


「もう終わりだな」


「編集長……。待って」


 一樹は担当に鍵を渡し、背を向けた。


 バタンと閉まるドア。


 男と女の関係が、こんなにアッサリ終わってしまうのか。


「いいのか?追い掛けなくて」


「この姿で追い掛けられないでしょう。彼とのことは単なる契約だから。気にしないで」


「契約?」


「それより、まひるのことが気掛かりよ」


 男と女の関係が契約で成り立つのか?

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