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担当は煙草をくわえ、ライターで火を点けた。
もともと容姿端麗、口は悪いが美しい女だ。こんなポーズも絵になる。
「只野先生も煙草吸います?」
「必要ない。俺達は昨夜あれからどうした?」
「まひると只野先生が生卵事件で面識があることは知っていましたが、その後の関係を私が問い質した途端、只野先生は酒を浴びるように飲み始め、『彼女が帰宅するまでマンションで待つ』と言い張り、一緒に帰宅して強引に泊まったの」
「この俺がそんなことを?」
「只野先生がどんな風に女を口説くのか興味があったし、まひると寝たのかどうかも気になったから、一回試してもよかったんだけど……」
「試す?何を?」
「只野先生のテクニックですよ。確か、夜はテクニシャンなんですよね」
「し、失敬な、あれは小説の主人公だ」
「期待したけど、只野先生は爆睡でしたよ。こんないい女を隣にはべらせて爆睡するなんてあり得ないですけど。でも意外と可愛い寝顔でした」
「……っ。昨夜は邪魔したな。失礼する」
「ここでまひるを待たなくていいの?」
「彼女の意思でKAISEIを辞め、このマンションを引き払ったのなら、もう俺のなすべきことはない。俺はストーカーではないからな、勘違いするな」
「でも、まひるが荷物を残したまま引っ越すなんて不可解ですよね。やっぱりあり得ませんよ」
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