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彼との関係が『愛人契約』だとサラリと言ってのけたみやこに、私は唖然とする。
「愛人契約って……」
「彼と肉体関係を持つ代わりに、彼から毎月援助してもらってるの。このマンションの家賃も実は彼が援助してくれてるのよ」
「……嘘」
それが本当なら、私はそのマンションに図々しく転がり込んだことになる。
「みやこ、知らなかった。本当にごめん」
「やだ、気にしないで。まひるは家賃払ってくれてるし、それは彼も了承済み。寛大な人だからね。このマンションに私が誰を連れ込んでも平気なんだ。自分が既婚者だから負い目があるのかな。奥さんを裏切っているから、私のことも束縛できないんだよ。他の男に抱かれてる私を想像して、ある意味、楽しんでるのかも」
そんな悪趣味な人には見えなかったけど……。
「……みやこ、私ね。派遣会社辞めるの。正社員になるんだ。寮も完備だし、近日中にこのマンションを出て行くから。寮の手続きが済んだら、すぐに引っ越すね」
「まじ?まひる、おめでとう。正社員なんだ。頑張ったね。どこの会社?」
どこの会社?
会社名聞いてなかった。
「KAISEIグループなの」
「スーパーの?KAISEIグループは大手企業だから安心だね。本当におめでとう。乾杯しよ」
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