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 この私が…特別?

 そんなこと、今までどの企業でも言われたことがない。


「スーパーKAISEIの派遣契約は本日付で打ち切る。派遣会社には、明日退職の意向を伝えて欲しい。君がフリーにならないと、こちらも雇えないからね」


「……はい」


「御園さんの家族は地方だよね。恋人は?都内に親戚はいるの?」


「都内に家族も親戚もいません。お付き合いしている男性も……いません」


「それは良かった」


 家族が都内にいないことと、恋人がいないことが、就職と何か関係あるのかな?


 でも、棚からぼた餅。

 これは解雇ではなく、ヘッドハンティングだ。


 私は店長に認められたんだ。

 ドジばかりしていても、私の隠れた才能を見抜いてくれた。


 KAISEIグループなら大手企業。正社員になれば今よりも生活は安定するし、しかも独身寮も完備なんて、私には申し分のない条件だ。店長が救世主に思えてきた。


 私は店長のグラスにビールを注ぐ。


 やっと自立出来る。そう思うと、自然と笑顔になり、会話も弾み箸も進んだ。

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