刺激的な愛人契約

まひるside

84

 お料理が運ばれ、取り敢えずビールで乾杯する。何のための乾杯なのか理解できないまま、グラスがカチンと小さな音を鳴らした。


 食事をしながら店長はにこやかに雑談し、上機嫌で私にビールを勧めてくる。

 少し酔いの回った店長は、私の指に触れた。


「君は綺麗な指をしているな」


 思わず、手を引っ込める。


「……あの。店長、私にお話とは?」


「君の仕事に対しての前向きな努力は認める。だがミスが多すぎる。契約の途中だがこれ以上継続は出来ない」


 やっぱり……。


「接客も得意ではなさそうだね。自分でも、スーパーの荷出しやレジは不向きだと思わないか」


「……私、解雇でしょうか?」


「派遣社員が期間満了前に解雇されるとなると、君も今後困るだろう」


「……はい」


 困るどころか評価が下がり、次の派遣先を紹介してもらえないよ。


「そこで相談だが、僕と新たな契約を結ばないか?」


「契約……ですか?どのような仕事ですか?」


「御園さんは友人宅に間借りしているんだよな。肩身が狭いだろう。僕が住まいも与えよう」


「その職場には寮があるのですか?」


 寮があるなら、みやこのマンションに居候しなくて済む。

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