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◇
午前十一時、セシリア社の担当に連絡すると、すぐに訪ねて来た。
「只野先生、原稿をいただきに上がりました」
「それなら出来ている」
担当を座敷に通し、プロローグと第一章の原稿を差し出す。
「ありがとうございます。早速拝読させていただきます」
担当はパラパラと原稿を捲ると、俺の目の前で赤鉛筆を取り出し、原稿をチェックしする。
「只野先生、ストーリーはありきたりで、ややインパクトにかけますね。でも前回拝読した作品よりも、女性向きと思われます。一応、この原稿はお預かりします。帰社し、編集長と協議します。全体のプロットはもう出来てますか?」
作家でもないくせに、作家の原稿をダメ出しするとはいい度胸だ。
前回は過去に執筆した戦国時代のお宝小説を、全作一頁しか閲覧していないだろう。
一頁で作品の良し悪しがわかるとは、到底思えない。
「掲載が決定したら、改めて打ち合わせをしたいと思います。その後はゲラにて校正作業を行いますので。次回までに全体のプロットと第二章もいただけますか?」
もうおかわりを要求するのか。欲張りな女だ。
「問題ない」
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