まひるside

76

 ―スーパーKAISEI―


『まひる、ちょっと休憩出来ない?』


「みやこ。どうしたの?仕事?」


『うん、只野先生』


「もうすぐ休憩だから、隣のカフェで待ってて」


 只野さんの原稿を、今日取りに行ったんだね。これで只野さんの連載確定だな。


 私的には結構面白かったし。

 プロローグはちょっとドキッとした。


 午後十二時半、休憩時間になりスーパーKAISEIの隣にあるカフェに入る。

 みやこはすでに入店し、一番奥の席に座っていた。


「みやこ、お待たせ」


 みやこは気難しい顔で私を見上げる。どうやらご機嫌斜めのようだ。


「いらっしゃいませ。お客様ご注文はもうお決まりですか?」


 このカフェにはよく来店するため、店員とも顔なじみ。メニューを見ることなくオーダーする。


「野菜サンドと珈琲、ホットで」


「はい。畏まりました」


 店員にオーダーを済ませ、お絞りで手を拭きながらみやこに視線を向ける。


「みやこ、何オーダーしたの?」


「私は胃もたれするからオレンジジュースだけ。只野先生のせいで食欲不振だよ」


「えっ?原稿ダメだったの?」


「一応もらったけど。編集長に電話で小説の内容を伝えたら反応がイマイチでさ。ダメもとでオファーした大物作家が、書き下ろしの完結作品をpamyuで連載してもいいってOK出したみたいなの」


「…えっ、それって?」


「只野先生の作品、ストーリーがありきたりなんだよね。主役はインパクトあるけど、嫌われ者の上司をこれからどれだけ魅力的に書けるかだよ。嫌われ者が最後まで嫌われ者で終わる可能性も大有りでしょう」

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