まひるside
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―スーパーKAISEI―
『まひる、ちょっと休憩出来ない?』
「みやこ。どうしたの?仕事?」
『うん、只野先生』
「もうすぐ休憩だから、隣のカフェで待ってて」
只野さんの原稿を、今日取りに行ったんだね。これで只野さんの連載確定だな。
私的には結構面白かったし。
プロローグはちょっとドキッとした。
午後十二時半、休憩時間になりスーパーKAISEIの隣にあるカフェに入る。
みやこはすでに入店し、一番奥の席に座っていた。
「みやこ、お待たせ」
みやこは気難しい顔で私を見上げる。どうやらご機嫌斜めのようだ。
「いらっしゃいませ。お客様ご注文はもうお決まりですか?」
このカフェにはよく来店するため、店員とも顔なじみ。メニューを見ることなくオーダーする。
「野菜サンドと珈琲、ホットで」
「はい。畏まりました」
店員にオーダーを済ませ、お絞りで手を拭きながらみやこに視線を向ける。
「みやこ、何オーダーしたの?」
「私は胃もたれするからオレンジジュースだけ。只野先生のせいで食欲不振だよ」
「えっ?原稿ダメだったの?」
「一応もらったけど。編集長に電話で小説の内容を伝えたら反応がイマイチでさ。ダメもとでオファーした大物作家が、書き下ろしの完結作品をpamyuで連載してもいいってOK出したみたいなの」
「…えっ、それって?」
「只野先生の作品、ストーリーがありきたりなんだよね。主役はインパクトあるけど、嫌われ者の上司をこれからどれだけ魅力的に書けるかだよ。嫌われ者が最後まで嫌われ者で終わる可能性も大有りでしょう」
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