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 書いたあらすじを元に、第一章を一気に書き上げる。


 生意気な編集者を唸らせるために、俺は一心不乱に万年筆を走らせた。

 俺の部屋で彼女が寝ている。それだけで、俺の作家魂に火が点いたといっても過言ではない。

 まるで着火剤だな。


 一章を書き上げ、燃え尽きたように「ふーっ」と机に突っ伏す。万年筆を置き時計を見ると、深夜零時を回っていた。


 そうだ、桃色に聞きたいことがある。


 パソコンを開き、お気に入りから【桃色恋愛カウンセラー】を検索する。

 ピンク色に染まる画面は、深夜に見ると妙に艶めかしいな。


【群青色です。実は女友達が家に泊まっている。この場合、どうすればいい。】


【群青色さんこんばんは。意中の彼女ですか?一気に進展しましたね。おめでとうございます。】


【彼女は内鍵つきの部屋に泊まっている。鍵は外から抉じ開けることも出来る。】


【彼女が自ら内鍵つきの鳥籠を選んだなら、まだ心を許してないということ。鍵を抉じ開け無理矢理侵入してはいけません。一時の欲望が折角築き上げた信頼関係を壊してしまいます。群青色さんが彼女にとって危険人物ではないということを証明し、彼女の警戒心を解く必要があります。】


 成る程、朝までゆっくり寝かせるとしよう。

 そもそも彼女を無理矢理抱くつもりはない。俺は小説の主人公ではないのだから。


【鳥籠を自由に出入り出来る彼女が羨ましいわ。外の世界に羽ばたける。】


 鳥籠か……。


 桃色はネットの中でしか、自由に羽ばたけないのかな。

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