まひるside

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「編集長、只野先生は無理です。どう見ても恋愛小説初心者ですよ。どうされるおつもりですか」


 仕事の途中で、マンションに立ち寄ったみやこは、携帯電話片手に強い口調でわめいている。 こんなにコーフンしているみやこ、初めて見たな。みやこにもこんな一面があるんだ。


 家にいるみやこは大雑把で男に甘い。女の部分しか見ていない私は、みやこがばりばりの編集者なのだと改めて気付く。うだつの上がらない私と堅実なみやこ。セシリア社の人事部の判断は正しかったようだ。


 電話口で散々捲し立てたみやこは、憤慨したまま電話を切る。


「編集長さん何だって?」


「書けない作家に発破をかけ、良作を書かせるのが編集者の手腕だってさ。けど、流石の編集長も恋愛小説初心者には呆れてた。只野先生を過大評価し過ぎたみたいね。万一に備えてもう一人オファーするって」


「万一に備え?それって只野先生が書けなければ、pamyuの連載中止ってこと?」


「トーゼンだよ。pamyuの恋愛小説を楽しみに、雑誌を購入する読者さんもいるの。読者さんの期待は裏切れないし、売上部数にも影響するからね。こちらも死活問題だから」


 そうなんだ。

 只野さん、大丈夫かな。

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