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「御園は本日お休みを取っています」


 忘れていた。

 本日、彼女は休みだったんだ。


 担当にキャンキャン言われ、苛つく気持ちを沈める安定剤が休みとは。

 俺の苛立ちはどう鎮めればいいのだ。彼女がいないスーパーは何の魅力もない。


「御園に何か御用ですか?代わりに伺いますが」


「問題ない」


 彼女は今日用事があると言っていた。彼女の用事とは、やはり同棲相手とのデートだろうか?

 恋とは無縁の地味な彼女が男と同棲とは、『オンナ』の部分がどうしても想像がつかない。


 彼女と性的なものが結びつかないのだ。結びつかないからこそ、そこに作品の価値がある。


 俺は安定剤を求め、先日彼女と立ち寄ったネットカフェに向かう。

 もしかしたら、偶然逢えるかもしれない。


 偶然逢えたら、それも何かの縁だな。

 俗にいう『運命の赤い糸』だ。

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