刺激的な第一章

まひるside

44

 部屋から出てキッチンで缶珈琲を掴み、脱走を目論んだ時、カチャッとみやこの部屋のドアが開いた。


 部屋から出て来たのは、ブルーのスーツにノーネクタイの男性。


 相手の顔を見るつもりはなかったが、ふと目が合った。


「……失礼。君……昨夜からこの部屋にいたの?」


「いえ、今朝帰りました。私のことは気になさらないで下さい」


「君はみやこと同居してるのか?」


「……はい。ていうか居候です。お互いプライベートには干渉しない約束なので」


「昨日は何処に泊まったの?恋人のところ?」


「私は……ネットカフェに」


 いけない。バカ正直に答えてしまった。モテない女であることを自ら告白。自爆だよ。


 でも、いつもお持ち帰りするタイプとは異なる。口調も紳士的だし服装もちゃんとしてる。過去のデータからすると、みやこは黒光りする革靴を履くような男性と一夜限りの恋はしない。

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