36
今夜みやこは飲み会だ。
飲み会イコールお持ち帰り。その方程式が正しければ、今夜私はネットカフェ難民となる。
そんな時、只野さんに食事に誘われた。一人きりで食事をするなら、只野さんと一度くらい一緒に食事をしても構わないかも。
別に深い意味はない。只野さんに好意があるわけでもない。
只野さんが約束通り、私の不祥事を全て水に流してくれるなら。
ただし、安全な場所に限る。
◇
「ここで食事を?」
「はい。只野様、このような場所は初めてですか?」
「ああ、噂に聞いたことはあるが初めてだ。それと俺を呼ぶ時に敬称はつけないでくれ。俺は殿様でもお代官でもない。イメージが狂う」
誰もそんなこと思ってないよ。お客様だから敬称を付けているだけ。
ここは私がよく利用するネットカフェだ。あとでみやこにメールして、今夜は男性と一緒かどうか確認し、一緒ならばこのまま宿泊すればいい。
「では只野先生とお呼びすればいいですか?」
「そうだな。その方がしっくりする。君はこのような場所によく来るのか?」
「はい。ここは飲食持ち込み可なので」
「成る程。住まいがあるのにここで飲食を?」
「たまに。一人ではないので色々ありますから」
只野さんは気難しい顔で私の話を聞いている。
「男性と同棲してるのにネットカフェか」
只野さんはぶつぶつと呟いている。『同棲』という言葉に私はぶるぶると首を振る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます