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桃色の本職は心理カウンセラーに違いない。だから勤務時間外に、無償で悩める者達の相談に乗っているのだ。
桃色は人間的にも素晴らしい逸材。これはゆっくり回答を待つしかない。
このまま書けない恋愛小説に時間を費やすよりも、好きな歴史小説を書いた方が効率的だな。
カリカリと万年筆を動かし、一心不乱に戦国の世を書き綴る。
気がつけば、いつの間にか周辺は薄暗くなっていた。部屋の照明をつけ、時計に目を向ける。
織田信長に没頭していたために、昼食を食べていなかった。
「もう夕飯時か。弁当でも買いに行くか」
徐に立ち上がり、下駄を履き徒歩数分のスーパーKAISEIに向かう。
店内に入ると、彼女が陳列棚に卵のパックを並べていた。
どれだけ卵が好きなんだ。やはり前世は鶏に違いない。卵を見ただけで、殴られた頬が連鎖反応を起こしピリピリ痛む。
午後六時半を過ぎると、KAISEIの弁当や惣菜は半額になる。まだ時間があるため、俺はぐるぐると店内を歩き時間を潰した。
「いらっしゃいませ。お兄さん、お弁当が安いよ」
半額シールを貼りながら、販売員が俺に声を掛ける。
「わかっているから、半額シールを待っていたのだ。それに俺はお兄さんではない。作家の只野だ」
「失礼しました。ごゆっくりどうぞ」
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