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「困ったものだ」


 ヒリヒリと痛む頬に触れる。『俺と寝ろ』と言って殴られた。これは生真面目で尚且つしらふの女にはNG。だが酔えば女も開放的になる。一夜のアバンチュールを楽しむのは、男だけではない。寧ろ生真面目な人間ほど酔えば羽目を外すものだ。


 そうだ、主人公が酒を飲めばいいんだ。


 プロローグはホテルでの情事。だがイメージが掴めない。酒を飲んだだけで、果たして女は男に抱かれたいと思うのだろうか。


 どうすれば恋愛小説のプロローグになるんだよ。


 俺はパソコンに視線を向ける。


 そうだ、桃色だ。

 彼女なら俺に良きアドバイスをくれるはず。


 【桃色恋愛カウンセラー】を開く。

 迷わず、お気に入り登録をした。これからもアドバイスを乞うためだ。


【群青色です。彼女に『俺と付き合ってみないか』と申し込み、相手にされませんでした。何故無反応なのかわからない。】


 入力したものの、待てど暮らせど返信はない。


 注意書きをよく見ると【当サイト、相談は二十四時間入力可能ですが、即時回答ではありません。】とある。


 なんだ、早朝は運が良かっただけか。即時回答でないのなら期待はできないな。


 桃色は神的存在ではなく、明らかに副業のようだ。


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