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 みやこはゲラゲラと笑う。


「どうして彼が作家だと思ったの?」


「自分でそう言ったから。実は脚立から落ちて、その人の頭上に卵をぶちまけたの」


「まじ?彼、激怒したんじゃない?」


「全然……。寧ろ薄気味悪いくらい。だって笑ってたんだよ」


「卵ぶちまけられて笑ってたの?信じらんない。実はね、編集長の学生時代の友人らしいの。だからpamyuでいきなり連載だって。編集長の指示だから逆らえないけどさ、見るからに恋愛小説を書くタイプじゃないよね」


 恋愛小説……?

 人気女性誌pamyuで連載するくらい、あの人……有名な作家さんなんだ。


 どうしよう……

 そんな人に私は卵をぶちまけた。


 お詫びに行かないと……。

 後からどんなクレームをつけられるかわからない。もしあの失態をSNSで呟かれたら、すぐに拡散されて私はクビだ。


「みやこ、只野さんの住所知ってる?」


「知ってるけど、どうして?」


「お詫びに伺いたいの」


「お詫びか……。学生時代『偏屈只野』ってアダナがあったらしいから、早く行った方がいいかもね」

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