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 派遣社員の私は、みやこよりも帰宅時間が早いため、夕食作りは私の担当。


 人も羨む美人で恋多き女のみやこは、酔うと男性をお持ち帰りする習性があり、そうなると当然居候の私はネットカフェでお泊まりすることとなる。


 いくら個室とはいえ、狭いマンション内でみやこと男性が戯れていると思うと、独身で男性経験なしの私には刺激が強過ぎるから。


 強いて言わせてもらえるなら、せめてお持ち帰りする時はメールで事前に知らせて欲しい。


 同居人に連絡することも出来ないくらい、泥酔して帰宅するみやこ。無理な要望だということは十分わかっているが、情事に溺れる二人と薄い壁を隔てて眠ることは、成人した女性にはやはり拷問に等しい。


 シャワーを浴びて、部屋着に着替えキッチンに立つ。


 スーパーでぶつかった男性のカゴの中身は、すき焼き用の牛肉と鍋の材料だった。ボサボサの髪、顎髭、着物に下駄。お祭りでもないのに着流しなんて明らかに異質だ。


 風変わりな人だと思ってはいたが、作家だったとは。

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