9
彼女はキャビネットから書類を取り出した。
「セシリア社には複数のグループ企業があります。出版関連では月刊誌、週刊誌、男性誌、女性誌と多種多様。セシリアSF文庫、セシリアコミック、セシリアプリティ文庫、セシリアセクシー文庫等からは、数々のベストセラー作品を世に送り出しました。こちらがセシリアグループのパンフレットです」
「なるほど」
一樹の父親がこのグループ企業の代表取締役社長とは驚きだ。
「こちらが契約書となります。これから印税等に関して説明させていただきますね」
彼女は書類をテーブルに置き、淡々と契約書を読み始めた。俺はそんなことよりも、恋愛小説のプロットをどう書けばいいのか、頭を悩ませている。
「只野先生、何かご質問はありますか?」
質問か、それならば山ほどある。
「君は恋人はいるのか?」
「は?」
軽蔑の眼差し。別に編集者をナンパしたいわけではない。プロットの参考までに聞いただけだ。
「只野先生、担当と作家の恋愛は禁止されておりますので、そのようなお話は……」
「俺はそんな目的で聞いたのではない。恋人がいるのかと問うたまでだ」
「一応……恋人はいますけど。それが何か?」
「ならば問題ない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます