4
大学時代、殆んど友人のいなかった俺。受賞の翌日は大勢の学生に囲まれるかと思いきや、地方新聞だったため殆どの学生は、俺の華々しい作家デビューを知る由もない。
『只野君凄いね。小説で受賞したんだって?いつか一緒に仕事ができたらいいね』
唯一、話し掛けてきたのは見ず知らずの学生。
『誰だお前?俺が少し有名になったからといって、馴れ馴れしい口を聞くな。お前は増えるワカメか』
後日、俺は奴にネット上で『偏屈只野』と異名をつけられ、その書き込みはあっという間に世間に拡散した。
俺のどこが偏屈なんだ。
増える乾燥ワカメじゃあるまいし、有名になった途端、ムクムクと見ず知らずの『友達』や『親戚』が増殖する方がおかしいだろ。
この一件で俺はますます大学で孤立する。それでも作家として生計を立てていけると信じていた。
しかしその後、何編公募に応募してもかすりもしない。受賞どころか、最終審査にも残れない。数年が経過し痺れを切らした俺は直接出版社に持ち込むが、この有様だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます