〈郵便配達アーリィ&アープ〉は、どこへでも手紙を届ける郵便配達のお店です。
困っている人は放っておけない明るく真っ直ぐな性格の少女アーリィ。
イケメンだがどこかズレている読書好きの竜人アープ。
ふたりのやりとりは面白く、思わず吹き出して笑ってしまうことも。
特に番外編の「アープの日記」は必読です。ニタニタが止まりませんでした!
他にも魅力的なキャラクターが多数登場して、賑やかな物語が展開されます。
ほのぼのとしたのどかな街が舞台ですが、手紙を届ける先でアーリィたちが目にするものは、深い余韻が残るものばかり。
笑ったり、感動したり、考えさせられたり、涙が出てきたりと、読んでいるうちに物語にどんどんと惹き込まれ、魅了されていきます。
楽しくて、深くて、そして美しい物語。
私もアーリィやアープたちとこんな世界で郵便配達がしてみたい。そう思える作品です!
郵便配達業の少女と相棒の竜人が主人公の、読みやすい連作短編集。
二人が郵便を届けて、また日常に戻ってくるまでの、魔法少なめファンタジーたっぷりな物語。
竜人イケメンは竜なのに『幻獣辞典』なんか読んでるし(自分のところの項目、どんな顔で読んだんだろ)、相棒アーリィはのびのびと愛おしい。
長命を生きて時に人と交わる竜や人魚たち。彼らに憧れながら、短い命をまぶしく生きる人間たち。その対比と刹那の交わりが、ひとつの軸になっている。
バックストーリーも魅力で、アーリィのおじいちゃんとアープの竜騎士&騎竜時代は、失われつつある竜騎士の輝かしさと戦争の愚かしい側面があいまって、終幕に特別な味わいを添えている。
竜騎士なんて聞くとアクションないし活劇を思い浮かべるでしょうが、視点人物の女の子は郵便屋さんです。竜騎士をやっていたのは、女の子のおじいちゃんですね。おじいちゃんは若いころに竜騎士をやっていて、そのときに乗っていた竜がお孫さんを助けてくれるんです。しかも竜は人間形態になることができて、イケメンです。街の女性たちはいつも彼を目で追いかけています。女の子、気が気じゃありません。なおイケメン竜の性格は浮世離れしているため、コミュンニケーションするのに慣れが必要みたいですよ。一朝一夕ですね。
話の構成は短編連作方式で、どの話も特殊な手紙を特殊な相手へ届けてほしいという内容になります。バリエーション豊かなキャラが手紙を通じて交流していくことになります。もちろんファンタジー設定なので、手紙の依頼を出すのも、手紙を届けられる側も、ファンタジーな住民であることが多々とあります。
さらにファンタジー世界であるため、郵送するときに危険を伴います。現代日本みたいに治安がいいわけじゃないし、移動ルートも確保されているわけじゃないので、遠出が命がけなのです。そこで竜を乗り物として使うことで様々な場所へ安全かつ迅速に手紙を届けることができるのが、女の子の閃きでした。
ただし女の子、お人よしなところがあるため、採算度外視で仕事を請けて赤字になることも多々とあるみたいですよ。
どんなお仕事で赤字を出してしまうのか。またおじいさんの竜騎士はどうして戦いに倦んでしまったのか。おじいさんはなにを遺したのか? すべての答えをあなたの目で見届けてください。
19歳の郵便配達屋アーリィには、誰にも言えない企業秘密がある。
それは、相棒の美男子アープの正体が実は〈竜人〉であること。
1000歳を超えるアープは黒竜の姿にも人型にもなれる体質だが、
人間と過ごすこと10年程度、やはりどうにも浮き世離れしている。
短編連作の異世界お仕事ストーリー。
アーリィとアープのやりとりは軽妙で楽しいが、
涙が宝石になる人魚や戦で滅びた国の末裔など、
登場人物たちの背景には悲しみが秘められる。
人外たちの天然っぷりがカワイイ。
スキマ時間に楽しめるサイズなので、
さっくり読んで、ほっこりできる。
続きがあれば、もっと読んでいたい。