第8話 類友

 私は、その方に、私の作品を好きだと言っていただきました。

 それで、私そのものを好意的に思ってくださったように思えたのです。


 レビューで私の人柄について語ってくださったので、私は「一言でいうと、ヘンテコリン子でございます」とお答えしました。

 なぜなら。

 幼稚園児の頃。

 髪の毛に針金を入れてもらって、ウサギの耳のように三つ編みを立たせ、「うさぎさん!」と、大喜びしていた奇天烈な子です。大好きな保母さんに見せに行くほど得意げでした。

 そう、昔から、ちょっとヘンなのです。


 そう申し上げたら、

「自分も変な友人や恋人とつきあえるほどには変人である」

と、仰せになったのです!


 はじめてでした。

 そんなふうに仰る方。


 だから、私は期待してしまったのです。

 では、類友になれますか?

 そう、おたずねしました。

 

 それと同時進行で、私はいらぬお節介を焼いていたのです。

 

 その方は、私の先走った憂慮と厚かましいほどの接近を許してくださったばかりか。

 類友なら、そのままの自分でいていいのだよ。

 そうまで仰ってくださったのです。


 辛ければツライ。

 嬉しければ嬉しい。

 素直に出してよいのだと。

 辛くても笑うことは何より悲しいことなのだからと。


 全身が熱くなりました。


 こんなにも優しい方に、ネットで出逢えるなんて。


 そして、類友になれるなんて。


 なんて幸せなんだろう。


 その幸せは、いまも膨らむばかりです。

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