4.



 始まりは、部活動や委員会活動の生徒であった。

 四月一日の年度初めから始業式直前までの約一週間半――まだ春休み期間にあった学校。課外活動で登校していた生徒たちの間で、それは起こっていた。

 学校で怪異に遭遇した、幽霊を目撃したという者がぽつぽつと現れ出したのである。それでもその時点ではまだ、それらは噂という規模にも満たない微々たるものであったらしい。

 しかし。

 始業日当日。

 春休み中に怪異に遭った生徒とその他の一般生徒が接触したことによって、〝怪談〟の噂はせきを切ったように爆発的に拡大した。

 最初は休み中に誰それが(もしくは本人が)見た聞いたという話を主として、


「こんな話を聞いたんだけど」

「マジかよ」

「そういえば私も」

「俺も俺も」

「えっ、私も」


 ――といったふうに。


 しかも、ことはそれで終わらなかった。怪異の遭遇者は新学期が始まった以降も途絶えることなく増え続けた。

 入学式のあった始業日。

 そしてその翌日。

 休み中の目撃談に加え、一学期に入ってからの新たな「実話」が噂を補強し、増強した。新学期初日から三日を待たずに、校内は怪談話で持ちきりになっていた。そしてその数は、現在進行形で増加しつつあった。

 俄かに、〝学校の怪談〟ブームが僕らの学び舎を席巻した。



                  *




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