2.
*
それが、僕の妹の名だ。
僕の妹は霊を見ることが出来る。
そしてそれは霊のみならず怪異全般に及ぶのだという。
ちなみに僕自身は怪異を見ることも聞くことも、それに触ることもできない。
あらゆる怪異は僕にとって存在しないものである。
*
妹の話をひとつ、出来るだけ真面目に、また存分にしてみたい。
はたして僕の十七年足らずの人生のうち、最も高い比率を占める関心事が妹についてのことであった。自らの半生を省みた時、妹こそが特に多くのイマジネーションを僕へ与え続けてくれる至高の泉源であったのである。
しかしながら、僕の目的は妹について語ることそれ自体にあるのではない。むしろそれによって彼女の人生観、分けても怪異に関する見え方、考え方を窺い知ることにある。僕が妹の魅力をこうして語っていくことで、それは僕ひとりの関心のみならず、次第に僕の近親者へ、延いては世の中のより多くの人へ向けて妹の素晴らしさを布教することにつながるかもしれない。もしそういうことになるとするなら、それは兄として願ってもないことだ――冗談でなく、割と真剣にそう思っている。
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます