あなたを好きになっちゃいけないの?
如月莱夢
第1話
今は数学の授業中。私はある人に恋をしています。そう…数学の先生に…誰にも言えない片想い……
私が自分の気持ちに気がついたのは高校二年の一学期でした。先生が…江川先生が副担任になったことが切っ掛けでした。それまでは授業が面白くてわかりやすい先生という認識だったはずなのに……
恋に年の差は無いというけれど世間はそういう目では見ていない。高校生が社会人…それも10も離れた人と付き合うなんてきっと犯罪だって思ってみていると…報道とか見ているとそういうイメージを持ってしまう。それに私が好きになったのは先生だから。教師と生徒の恋愛はタブー…同じ人間で異性同士なのに認められないものだから。でもこの気持ち消すことがどうしても出来ない。だって…好きなんだから……
私が消極的な性格でなければ思いを伝えることが出来なくてももっと先生と仲良くなれるのに私は見つめることしか出来ない。でも…今は3年の二学期。あと半年で私は高校を卒業してしまう。大人と子どもの境…18歳。ある程度の自由は認められるけれど高校生という部分で規制がかかる年齢。今までダメだといわれていた関係が変わる年齢…私にはその意味がよくわからないけれど。私みたいに歳が離れた人を好きになったり付き合うとなれば別だけど3歳くらいの差だったら普通に出会いだって恋人同士にだってなりそうなのに……法律はそういうのも認めないのかな。今の私には関係のないことだけど。
どうして先生を好きになってはいけないの?たぶん好きになるのはどうすることもできないからなってはいけないわけではないと思う。ただ恋人同士にはなれないだけ。気持ちを伝えるのも自由…失恋するのがほぼ確実でもいいならだけど。あと相手に迷惑がられる可能性がものすごく高いのも…嫌われ避けられる覚悟があるなら…告白するのも自由。かなり低い確率で思いが通じることがあるかもしれない。でも…高校生である間は特別な関係にはなれないけれど。
「百合崎さんって恋人とかいないの?」
友人の一人が軽い気持ちで聞いてくる。今は放課後の帰り道。いつものように友人たちとファストフード店でお茶してます。
「早百合さんって美人だからもてそうだしね。」
確かに告白されたこともなくはないです。でもその思いに答えられないと全部断わりました。
「私は…高校卒業するまではそういうのなくていいかな。それに受験生だし。」
私の答えに二人は不満そう。
「「せっかくの高校生活なのに……」」
いつものやり取り。言えれば…相談できれば少しは楽になれるかもしれないけれど。
「そうそう、江川先生また告白されたらしいよ。」
「今度は誰?」
聞きたくない話。でも恋話好きの二人だからこれもいつものことなんですよね。それに…先生もてるから。同じ教師にも生徒からもね。
「隣のクラスの佐伯さん。振られたらしいんだけど…」
なんだかいつもと話が違う感じ。振られるのはいつものなんだけど今日は続きがあるみたい。
「それで?」
私が急かさなくても二人で話は盛り上がって行く。
「好きな人がいるから誰とも付き合うつもりはないってはっきりと言ったんだよね。」
「今まで生徒だからとかとか教育者として半人前だとかいって断ってたのに。あれ?恋人がいるからって断ったんじゃないんだ。」
「実際に見てたからね。ついでにそのあと先生の独り言も聞いちゃった。」
「なんて言ってたのよ?」
これっていい加減止めたほうが…いいのかな。気になるかけれど聞かないほうがいいようにも思う。
「プライベートなこと詮索するのはよくないと思うけれど。」
「早百合さんって真面目なんだから。」
「それが百合崎さんらしいんだけど。」
真面目で大人しい……それがクラスメートが持つ私の印象。悪いことではないけれど少し寂しいとも思う。
「江川先生ね……叶わぬ恋をしてるみたいよ。誰かまではさすがにわからなかったけれど。」
ズキリと心が痛んだ。先生に思い人がいる。片想いらしいけれど……
「早百合さんどうしたの?」
「急に難しい顔して…もしかして先生のこと好きだとか?」
慌てて否定をしようとする前に
「は、ありえないけどね。百合崎さんが先生のこと好きになるなんて。常識を超えたことなんてしなさそうだし。」
ホッとしたけれど…でも私の恋の悩みは誰にも理解されないのかもしれないとそう思ったのです。
あなたを好きになっちゃいけないの? 如月莱夢 @raimu001
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