第66話 愚者より賢者へ
ステータスを見るとわかる通り、スキルにはいくつか種類が存在する。
よく見かけるのは
この三種類だ。
対して、人間やその他の種族は
一説には知能が本能を上回っているために、本能によって習得する
これと相対をなすのが
種族ごとに違うが、子供はある一定の年になると教会の【
するとその
冒険者たちや兵士が、体格や力で上回っている
どちらのスキルも
しかしそれだけで終わらないのが、スキルというものをより奥深くさせている
時々、両スキルの中に条件を満たすことによって進化し、上位互換のスキルを習得することができる。
どちらから進化したとしても分けられることはなく、それらは一括りに<
このスキルは
冒険者の間でも、
それだけの可能性を
ただ、そこにたどり着くまでの道のりは、スキルの有効性と比例するかのように険しく厳しい道のりとなっている。
一つのスキルを集中して取得するよりも、まんべんなくとっておいたほうが普段の戦いで使い勝手がいいからだ。
結果としてコツコツとスキルレベルを上げていったとしても、
◆◆◆
王城で受講したスキルの説明を思い出す。
勇者として召喚された時、すでにステータスに記載されていた
正直言って初めて聞いたときは心の中で小さくガッツポーズをしてしまった。
何を隠そう、私は様々な本に交じってこのような設定の小説、俗にいう『ラノベ』をたくさん読んでいた。
まるでゲームの世界を文字の上に乗せたかのような描写は私の中に新たな感動を覚え、その世界を所狭しと動き回る主人公たちについつい感情移入してしまった。
そしてその『ラノベ』の中で多くに共通して言えることは、主人公がほかの登場人物たちとは一線を期す能力、いわゆる『転移者補正』を有していることだった。
その『転生者補正』がこの
自分は選ばれた存在であるという優越感に、浸っていなかったといえば嘘になる。
「まぁ、良かったじゃないですか。
役に立ちそうなスキルを、猫の手も借りたいようなこの状況で取得することができたのですから」
「そうですけれど……」
自身の力で得たわけでもないSPで、こんなにも簡単に取得してしまっていいものなのだろうか?
達成感よりも後ろめたさが勝って、笑顔にはなれなかった。
「……おねぇちゃん」
袖をちょいちょいと引っ張る力を感じる。
下を見ると、リズが私に何か訴えかけるような目でこちらを見ている。
「これ」
差し出したのは、精巧に掘られた木の像だった。
「これは何?」
「えぇと……その」
「本尊ですよ」
「本尊?」
私の質問にリズの代わりにしっどが答えた。
「えぇ、ワシも数十年前に一度しか見たことがないのですけれど。
昨日神樹によって破壊された神社があるでしょう? そこ神社に祭られている……祭られていた神の本尊です」
像の形はとても抽象的で、一見すると何を彫っているのかはわからない。里が祭っている神様なのだろうか?
「里で祭りを行う際、神樹の魂がこの中に舞い降りて祭りに参加するという言い伝えがあるのですよ。里の皆が楽しんでいるのだから、その日ぐらい神樹も楽しもうという意味を込めて。……当の神樹はああなりましたがね」
声にはどこか皮肉が含まれているような気がした。
「昨日のあの時、拾ったんだよね」
「うん」
おそらく私が駆け付けた時、根が飛び出てくる余波で転がってしまったのだろう。
「どうして、私に?」
「おにいちゃんはうごきまわるから、たぶんじゃまになる」
「あぁ、なるほど」
彼女なりに考えてのことだった、シッドが少しだけ残念そうにしていたけれど。
「それじゃあ、この木像私が預かるね? 大丈夫、ちゃんと巫女さんに返すから」
「うん!」
「えぇ」
お互いにそれぞれの意思を確かめ合い、また戦いの準備へと再開する。
今晩は長く、忘れられない夜になりそうだ。
<木像より『神の破片』を贈呈します。>
<個体名【
<『神の破片』による個体名【
<干渉失敗>
<干渉失敗>
<干渉失敗>
<干渉失敗>
<干渉失敗>
<干渉失敗>
<個体名【
<『神の破片』を個体名【
◆◆◆
一般の間では、
しかし上には上がいる。
極稀に
それこそが
持っているものは小国に一人いれば良いほうであり、大国であっても数人しか保持できていないというほどにたどり着いたものが少ない。
数に反比例するかのように力は大きい。この階位に位置するスキルは種類や系統に関係なく、
事実、一人の
しかし確実に言えることは、その力に喧嘩を売ればただでは済まないということだろう。
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