第65話 赤剣を以って

 神樹との再戦を決定したのなら、私たちもある程度準備が必要になる。

 昨日のような幸運など、いつまでも続くはずがない。


「ステータス」


■■■

【Name】七瀬 葵

【Race】人間

【Sex】女

【Lv】127

【Hp】1300/1360

【Mp】2320/2720

【Sp】102630

【ATK】1360

【DEF】1360

【AGI】1360

【MATK】1360

【MDEF】1360


■■【職業ジョブ】■■

賢者セイジ


■■【装備】■■

【第2級法衣】

【軽防具・白狼】

【走狗の髪留め】


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

【魔力眼】Lv,1

<職業ジョブスキル>

【氷魔術】Lv,3

 【アイスボール】Lv,2

 【アイスランス】Lv,1

【炎魔術】Lv,2

 【フレイムボール】Lv,3

【光魔術】Lv,2

 【ライト】Lv,2


 ■■【称号】■■■

【異世界人】【賢者】


 ■■■


「やっぱり……」

 体に違和感を感じた時から薄々予想はしていたけど、まさか一気にLvレベルが倍以上になるとは思わなかった。

 火球が以前とは比べ物にならない威力になるのも納得できる。


 そして、なぜこれだけ上がったかも。パーティーを組んでいたのはリンと亨君だった。

 この状況は旅を始めた時から変わっておらず、一時的にでも誰かをパーティに加えたことはない。

 道中の魔物モンスターは護衛としてついてきてくれた亨君が倒してくれたので、この一週間私が直接戦ったものと昨晩の根のみ。

 魔物モンスターの経験値は微々たるものでレベルが上がるまでには至らなかった。

 根はそもそも神樹の一部であり、破壊したところで神樹そのものを倒したことにはならないので経験値が入るわけがない。


 ならばレベルがここまで上がった原因は私以外のパーティメンバーということになる。

 リンは今まで私を守っていてくれたので、魔物モンスターを倒す暇なんてなかった筈だ。

 ここから導き出せる結論は一つ。


「亨君……」

 根に引きずられた後、何らかの事情があって高レベルの魔物モンスターたちと戦った。

 私の知らないところで、彼は彼なりに戦っているのだ。だったら私も彼の仲間である以上、彼を補佐しなくてはならない。


「……よし」

 改めて自身を鼓舞し、やる気を高める。


「シッドさん」

「はい?」

「提示できる範囲でよろしいので、扱えるスキルを教えてもらってもよろしいですか?」

「あぁ、はい」

 神樹には一人で立ち向かうわけではない、あの強敵と互角以上に戦うためには仲間との協力が必要だ。

 仲間がどんな技を持っているのかを把握しておくことで、戦略の幅が広がり勝利への大きな貢献となる。


「よろしければステータスをお見せしますが?」

「いいのですか!?」


「えぇ、リズを救っていただきましたし、何よりあなたは信頼できる人物です。

 でしたら見せても後悔はしないかと思ったのですが?」

「そうですか……」

 とても魅力的な意見だが、それはそれで少し後ろめたいという感情がある。


「でしたらお互いにステータスを見せ合いませんか? そのほうがいいと思います」

「分かりました」

 このように仲間内でステータスを見せ合うと、王城付近で言峰君たちと戦っていたことを思い出す。

 準備をして戦って反省をしながら互いを誉めあう、もうあの嬉しさを感じることはできないのだろうけど。


「……かなりSpスキルポイントを溜めているのですね」

「あぁ……えぇ……まぁ」

 事情を知らない人が見れば、皆そのような意見になるだろう。


■■■

【Name】シッド・シュベルツ

【Race】半耳長族ハーフエルフ

【Sex】男

【Lv】234

【Hp】2340

【Mp】2340

【Sp】450

【ATK】2340

【DEF】1170

【AGI】2340

【MATK】2106

【MDEF】2106


■■【職業ジョブ】■■

サムライ


■■【装備】■■

【軽鎧・白夜叉しろやしゃ

【刀・瓶割】


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

【血染刀身】Lv,7

【明鏡止水】Lv,6

<職業(ジョブ)スキル>

【刀術】Lv,10

 【峯打ち】Lv,10

 【連撃】Lv,10

 【半月】Lv,9

 【炎舞】Lv,8

 【向覃中刀】Lv,7

 【無間ノ位ムゲンノクライ】Lv,3

【精神統一】Lv,10

 【縮地】Lv,10

 【先見】Lv,7

 【瞬光】Lv,6

【五感強化】Lv,9


■■【称号】■■

【剣豪】【白兎】


■■■


「お恥ずかしい」

「そんなことないですよ!」


『すごい』

 この一言に尽きる。

 さすが里の守護者として、約200年間この里を守ってきたことはあると素直に敬意を表した。

 ほとんどのスキルのLvレベルが高く、刀術に至っては最大のLv,10まで上がっており、奥義まで使えるという。

 これほどの剣客は大陸を探したってそうそういるものじゃない。


「それに、私はこの力を神樹へと活用することができませんでした」

「それ以上はもう、言わないようにしましょう」

 彼が神樹に敗れた理由はいろいろとあるが、結論から言えば相性が悪かったのだ。


 そもそも【サムライ】は、人と人との闘いの中から生まれたものだといわれている。『いかに対戦相手より速く、巧みに技が繰り出せるか』ということを追求した職業ジョブなのだ。

 そのため、取得できるスキルの多くは対人、または比較的小型の魔物モンスターを想定したものが多い。


 しかし、今回の相手である神樹はどう見ても、比較的小型の魔物モンスターの枠組みに入るわけがない。むしろ、私が記憶している魔物モンスターの中でも、一二を争うほどの大きさを誇っているといってもいいだろう。

 笑ってしまうほどに相性は最悪だ、例えるなら戦艦に柔術で迎え撃つようなもの。挑むなんて自殺行為に等しい。


「とりあえず私は火魔術方面を集中的に上げていこうと思います」

「分かりました」

 彼と確認を取り、Spスキルポイントを振り分けていく。


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スキル【火魔術】Lv,3を取得したことにより条件が満たされたため。

新しく【フレイムランス】Lv,1を取得できるようになりました。

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スキル【火魔術】Lv,5を取得したことにより条件が満たされたため。

新しく【フレイムバインド】Lv,1を取得できるようになりました。

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スキル【火魔術】Lv,7を取得したことにより条件が満たされたため。

新しく【フレイムトルネード】Lv,1を取得できるようになりました。

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「わぁ」

【火魔術】を、上げられる最大Lvレベルの7まで一気に上げることができた。

 正直言ってとても爽快だ。

 言峰君たちとパーティを組んでいたときは、ポイントをコツコツためて上げていた。

 それはそれで楽しかったのだが、このようにたくさんのスキルポイントを豪快に使っていくのもなかなか気持ちが良い。

 友達にレベル上げの好きな子がいたけれど、今なら彼女の気持ちが少しわかるかもしれない。


「七瀬さん、魔術系の職業ジョブは詠唱を短くできるスキルが確かあったはずです。

 できればそれをとっていただけると嬉しいのですが」

「もちろんです!!」

 昨日の戦いで私が一番危ういと感じたことは、魔術を撃つ間隔が長く、詠唱中が隙だらけになるという点だ。

 それが原因で一度、危機に落ちいたことは記憶に新しい。


【高速詠唱】を今まで取得しなかった理由は、単純に取得に必要なSpスキルポイントが多く、また詠唱中はパーティメンバーが私を守ってくれるため優先度が低かったことが大きい。

 しかしこの量さえあれば。


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スキル【高速詠唱】Lv,1を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,2を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,3を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,4を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,5を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,6を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,7を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,8を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,9を取得しました。

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スキル【高速詠唱】Lv,10を取得したことにより条件が満たされたため。

【高速詠唱】Lv,10が<特殊エクストラスキル>【詠唱省略】Lv,1となりました。

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「ふ、ふふーん。どうだ」

 言葉とは裏腹に内心心底驚いている。

 夢中になってあげていたら、無視できない文字が浮かび上がったのだ。


「どうかしましたか?」

「あの……」

 ここまでくると話がうますぎて逆に疑ってしまう。


 一般的な冒険者が10年かけてたどり着くというスキル、特殊エクストラスキルをたった数分かそこらで取得してしまったのだから。

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