第36話 生還
うっすらと意識が戻ってくる。
しばらく辺りが血生臭いと意識が朦朧としていたが、今の状況を再確認して一気に目が覚めた。
体を起こして周りを見渡す、しかし見えるのは相も変わらずのボス部屋と、無駄に大きい黒龍の死体のみだ。
ふと腹のあたりが重いと感じ視線を下に移すと、リンが腹の上に乗っかってだらしなさそうに変形している。
さっきまで金色だった体が今は全身真っ黒になっている。
一瞬死んでしまったのかと思ったがちゃんと動いている、おそらく寝ているのだ。
「スライムって睡眠をとるんだな」
起こそうか迷ったが、今回の戦いでも大活躍だからでしばらくそっとしておこう。
熟睡の相棒を膝の上にのせて、早速今回の戦果を確かめてみる。
■■■
【Name】
【Race】 人間
【Sex】 男
【Lv】224
【Hp】 2340
【Mp】 2340
【Sp】 203645
【ATK】 2340
【DEF】 2340
【AGI】 3945
【MATK】 2340
【MDEF】 2340
■■【
【
【装備】
【黒剣・双影】
【黒剣・双影】
【黒鎧・黒烏】
【闇のマント】
■■【スキル】■■
<
【影魔法】Lv,1
【参剣術】Lv,1
【多段突き】Lv,10
【投擲】Lv,7
【三日月燕】Lv,7
【首切り】Lv,5
【
<
【
【変装】Lv,10
【完全耐性】Lv,5
【五感特化】Lv,1
<
【自己鍛錬】Lv,5
■■【称号】■■
【異世界人】【冒険者】【覚醒者】【攻略者】
■■■
「かなりスキルがまとまったな」
まず目に付くのがスキルの欄がかなりすっきりしたということだろう、いくつか新しいスキルも増えている。
「称号が増えてる」
とりあえず興味を持ったものから説明を開くと、うれしい誤算が記載されていた。
【攻略者】
ダンジョンを攻略したものに与えられる称号
ダンジョンの10階層ごとの空間から、他の10階層ごとの空間へと自由に出入りすることができる。
「よっし!」
これは大きい、この先の90階層から10階層まで一気に戻ることができる、今までの問題が一気に解決した。
喜びに浸ることしばしば、続いてもう一つの称号にも目を向けた。
【覚醒者】
何らかのきっかけで
主に
「
ステータスボートに表示されている並び順からして、
なかなか面白そうなので説明を見てみる。
【影魔法】Lv,1
己の影を操り様々な現象を起こすことが可能な魔法。
【参剣術】Lv,1
【双剣術】が進化したスキル
【双剣術】に加え【刀術】も扱うことができる。
「ふむ…」
【参剣術】はかなり便利なスキルだろう、今まで出来たことがさらに広がったのだから。
問題は【影魔法】だ、はっきり言ってそこまで凄そうには見えない。
「とりあえず
物は試しとまず一つだけ【影魔法】の
■■■
新しく【影縫い】Lv,1を取得できるようになりました。
■■■
「影縫いって…」
そういえばと取得したスキルを見やる、確かに【短剣術】の中から消えていた、ここに統合されていたのか。
ただこれだけでは、
まだ
■■■
新しく【影送り】Lv,1を取得できるようになりました。
■■■
■■■
新しく【影遊び】Lv,1を取得できるようになりました。
■■■
「すごいな。」
そのスキルが使えるかどうかは別にして。
「試してみるか。」
【影魔法】の
【影縫い】は敵がいないと確かめられないので後に回すとして、最初は【影送り】だろう。
「む?」
【影送り】を発動した瞬間、どれを送る対象にするか選択しろと自分の意識が語り掛けてきた、なんだか妙な感覚だ。
試しに遠くにある黒龍の魔石を選択すると、その魔石が魔石自身の影の中へと沈んでいった。
そしてどこに送るかと再度意識が語り掛けてくる。
自分の前に持ってくるように思うと、目の前に影が出現し、魔石がその中から浮き上がってきた。
これで【影送り】は終了だ。
「面白いな、このスキル。」
なかなか応用性のあるスキルだ、使い方によっては化けるだろう。
次に【影遊び】。
これは名前から予想していたが、自分の影を操り大きさと形を変えられるものだった。
しかしそれだけに止まらず、影を床からはがし自分の目の前に平行に立たせることもできた、まるで自分をかたどった黒い紙が目の前に立っているように見えた。
もうこれは影といってもいいものなのだろうか?
思った以上に影を変形させるのが面白く、30分ぐらいそれで遊んでしまった、ちなみに黒龍を模した影が自分のお気に入りだ。
「これは
なかなか使えそうなスキルだ、それにほかにどんな力があるか試してみたい。
【影魔法】をLv,8まで上げて手に入ったスキルは5つ、手に入れた順に【影繋ぎ】、【影作り】、【影分身】、【影潜み】、【影移動】だ。
5から7までで一つずつ、8で2つ手に入った、
これらのスキルも一度試してみたがなかなか有用なスキルだったり、かけ合わせれば更なる効果が生まれるスキルだった。
これは重宝していこう。
ただいかんせん
自分が
「起きた?リン」
次いで、この黒いスライムのステータスも見ておこう。
■■■
【Name】 リン
【Race】 シャドースライム 《魔物》
【Sex】 なし
【Lv】68
【Hp】 780
【Mp】 780
【Sp】 291600
【ATK】 780
【DEF】 780
【AGI】 780
【MATK】 780
【MDEF】 780
■■【
【使い魔】
■■【スキル】■■
<
【
<
【
【
<
【捕食】Lv,10
【蜘蛛糸】Lv,10
■■【称号】■■
【使い魔】【覚醒者】【攻略者】
■■■
めでたく一緒に【覚醒者】になって種族も進化したようだ。
「さらに固くなったか」
リンのステータスを見て初めに思ったことはそれだった。
◆◆◆
今、自分は黒龍の亡骸の前に立っている。
理由はパワーアップしたスライムソード、いや、ここはスライムソード『改』とでもしておこうか、その切れ味を確かめるためである。
ついでに黒龍を倒した記念に、黒龍の一部を切り取って持って帰ろうと決意したからだ。
「さて、それではお披露目と。」
そういって黒龍の装甲に切りつけてみたが予想以上の結果だった。
少してこずったが何と装甲の一部をはがすことに成功した、自分の分身体があれだけ攻撃を跳ね除けた無敵の鎧に一矢報いることができたのだ。
こうして手に持ってみるとわかるが、見た目はまな板ぐらいしかないのに自分の2000越えのステータスでもなんとか持てるぐらいの重さがある。
ただ見た目はとてもかっこいい、少し紫がかった黒に所々が光を帯びていてとても神秘的だ、流石龍の素材というだけある。
これで武器なんか作った日には人目のつかないところで振り回す自信がある。
「それともう一つ」
ついでに龍の牙と爪も取っておく、これは自分の予想だがゲームの中でもこれらはとてもレアなアイテムだったはずだ、
もし使い道がなかったとしてもマンモスの牙のように部屋に飾っておきたい、コレクションとして。
「これでいいかな?」
薬草やら道具やらを使い荷物を少しでも軽くした後、今回の戦利品を詰めこむ。
装甲と牙と爪しか積んでいないはずなのに重量が5倍ぐらいになった気がする、【影送り】で運べばよかったかもしれない。
気持ちが下がったが、問題はこれからなのだ、
ダンジョンをクリアしたはいいが、王城での自分の立ち位置をどうにかしないといけない。
この世界で何をするにしてもこの問題を片づけてからだろう。
「頑張ろうか」
扉を開ければあふれるようにして光がその場を包み込む、まるで攻略を果たした自分たちを祝福してくれているようだ。
リンとともにその中へ進んでいった。
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