第21話 心躍る光景

 その後、9階層の敵を分身体と協力しながら倒していく。

 今の【分身】のスキルLvレベルは3、王城にいる分身体と合わせてもあと2体出すことが可能なので比較的楽に倒していける。


 そしてスライムにも変化があった。

 何とホブゴブリンとコボルト数体を倒しただけでLvレベルが最大の10になってしまったらしい。

 モンスターを倒した場合、自分とスライムにSpと経験値が二等分されるためすぐにレベルは上がるだろうと思っていたが早すぎとしか感想が出てこない。

 そう驚いたのもつかの間、突然スライムの体が輝きだすと前より大きな黄色いスライムへと姿を変えていた。

 後で聞いた話では、上位種族へと『進化』したらしい。


■■■

【Name】 (名前なし)

【Race】 イエロースライム 《魔物》 (New)

【Sex】 なし

【Lv】5 (▲2)

【Hp】 30 (▲17)

【Mp】 30 (▲17)

【Sp】 890

【ATK】 30 (▲17)

【DEF】 30 (▲17)

【AGI】 30 (▲17)

【MATK】 25 (▲17)

【MDEF】 25 (▲17)

■■【職業ジョブ】■■

【使い魔】

■■【スキル】■■

【捕食】Lv,1


■■【称号】■■


■■■


「さて、ここからだな。」

 9階も終盤に近付いたとき、自分の目の前に大きな扉が現れる、周りの洞窟の壁とは違って頑丈な石造りで重量感を放っている。

 10階層ごとに設けられており、扉の向こうにはこの階層よりも1段階強い魔物モンスターが待ち構えている、言ってみればボス部屋の扉だ。

 入るごとにボスが出現するため、前のパーティが倒して復活する隙に進むなんてズルができない、正真正銘の実力勝負だ。


「頼んだよ」

 自分は分身体を出し荷物を預ける、分身体に戦闘をすべて任してしまうのもいいかもしれないが、こういう大事なことは自分自身がやらないと気が済まないのだ。

 ついでにスライムも分身に預ける、こいつが近くにいると戦闘に集中できない。

「…よし!」

 心を奮いだたせ覚悟を決める、その重い扉を手で押した。


 ボスの部屋は広い空間になっていた。

 その中にいくつか人影が見える、これはホブゴブリンのパーティーだ、しかしながら数が多い、前は10ほどだったが今はどう見ても30はいる。

 しかもそれだけではない、その集団の後ろにひときわ大きなゴブリンが構えている。


■■■

【Name】(名前なし)

【Race】 ゴブリンジェネラル(魔物)

【Sex】 男

【Lv】30

【Hp】 500

【Mp】 500

【Sp】 0

【ATK】 350

【DEF】 350

【AGI】 200

【MATK】 300

【MDEF】 300


■■【職業ジョブ】■■

将軍ジェネラル


■■【スキル】■■

【攻撃の号令】Lv,3

【守備の号令】Lv,3

【剣術】Lv,3

 【スラッシュ】Lv,2


■■【称号】■■

【リーダー】


■■■


 どうやら彼がこの群れのリーダーらしい。

 【将軍ジェネラル】なんてとても強そうな名前だが、その軍団は30人しかいない、それは将軍じゃなくて部隊長ぐらいじゃないだろうかと思ってしまったのは胸の内にとどめておく。


「悪いけど倒させてもらうよ」

 短剣を片手に構えなおし、自分はホブゴブリンたちに突撃した。


 まず特殊エクストラスキル【分身】を使い、自分の分身を出す。

 その分身を前に走らせて、自分は盾を持ったホブゴブリンに一直線に走る。

 ホブゴブリンが盾を構えたと同時に分身体がその盾に思いきり体当たりをする、少し盾が後ろに下がるがそれだけだ。

 だがそれでいい、分身体は盾の手前で前で身を屈め、自分はその背中を踏み台にして跳躍した。

 勢いが良かったのか思ったよりも高く飛び上がり、ホブゴブリンの盾を超えることに成功した。


 まさか敵が空から降ってくるとは思わなかったのか、剣を持ったホブゴブリンたちは対応に遅れた、そのうちの一体の顔に足を乗せその頭を地面に叩きつけながら着地する。

 自分はすぐに腰に差していた8本のナイフを両手の指の隙間に挟み、他の剣を持ったホブゴブリン達に投擲する、ここは敵のパーティーのど真ん中だ、密集した陣形が仇となりほとんどが腕か体か顔に突き刺さる。


 そのまま遠くを見るとメイジゴブリン達が隊列を作って今まさに魔術を放とうとしていた、いくらステータスが違うとはいえあの数の魔法を受けたらひとたまりもない。

 ナイフが当たったホブゴブリンのうち、近くにいた奴の首を掴みそれを盾にして走り出す。

 氷やら炎やら雷やらが飛んでくるが、そのすべてがこの不幸なホブゴブリンに当たって終わるだけとなった。


 攻撃の波が終わったと感じたら、もはや原形をとどめていない『それ』をメイジゴブリンに向かって投げつける、予想外の状況にメイジゴブリンの隊列が乱れた。

 『それ』に釘付けになっているほんの少しの間に、自分は右に跳んで進む方向を急転換した後【隠密】を発動する、これでメイジゴブリンたちは自分がいきなり消えたように錯覚しただろう。

 そのまま隊列の右端に到着した後、片っ端から首を刎ねていく。

 最後のメイジゴブリンが気付き首を振り向いた時には時すでに遅く、その首はそのまま回転しながら地面へと落ちていった。

 これで敵は『魔法で援護する』という手段が使えなくなった。


 こうして自分はリーダーのもとへとたどり着く。

 ちらりと後ろを見ると分身体がナイフの刺さったホブゴブリンたちのとどめを刺しているところで、盾を持ったホブゴブリンたちは整列しながらおろおろしている。

 彼らは無駄に頭が良いだけに、今自分たちのだれかが飛びだでば、その隙間から侵入されて蹂躙されること分かっているのだ。


 突然リーダーが雄叫びを上げる、するといくらかホブゴブリンが切りにくくなったと分身体から意思で連絡が入った。

 恐らく今のは【守備の号令】だろう、味方に対して守備力を上げる強力なスキルだが、自分が奇策に出たせいで使うタイミングを損なってしまったようだ。

 もしあのスキルを適所適所で使われたら死んでいたのは自分かもしれない。

 そんなことを思いながらリーダーと対面する、こうしてみると結構大きい、身長は2mほどあるだろう。

「オォ!!」

 身長と同じくらいありそうな巨大な剣を思い切り振りかぶる、一見恐ろしい光景のように見えるが【短剣術】が隙だらけと教えてくれる。

 地面を蹴って思い切り懐に入り込み、短剣をリーダーの喉に突き立てた。


 しばしの沈黙の後、リーダーの巨体が地に沈む、分身体を見るとどうやら向こうもすべて始末したらしい。

 初めてのボス戦はこうして無難に決着がついた。


■■■

【Name】 影山 亨かげやま とおる

【Race】 人間

【Sex】 男

【Lv】53 (▲22)

【Hp】 620 (▲220)

【Mp】 620 (▲220)

【Sp】 5800

【ATK】 620 (▲220)

【DEF】 620 (▲220)

【AGI】 930 (▲330)

【MATK】 558 (▲198)

【MDEF】 558 (▲198)


■■【職業ジョブ】■■

忍者アサシン


■■【装備】■■

【無銘の魔剣】

【無銘の魔剣】

【鉄の鎧】

【厚手のマント】


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

【分身】Lv,3

<職業ジョブスキル>

【偽装】Lv,5

【鑑定】Lv,4

【看破】Lv,4

【隠密】Lv,5

 【忍び足】Lv,3

 【抗体】Lv,3


【短剣術】Lv,5

 【影縫い】Lv,3

 【多段突き】Lv,2


■■【称号】■■

【異世界人】【冒険者】


■■■

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