第14話 拠点確保

 冒険者ギルドで登録を終えた後、早速依頼を受けてみる、受付嬢の話によると依頼は以下の六つの種類に分けられる。


【討伐依頼】

特定の魔物モンスターを倒す依頼

また依頼の内容によっては討伐したモンスターの部位を依頼人に渡すものもある。


【護衛依頼】

行商人の馬車などを護衛する依頼

基本的に複数のパーティーで受ける。


【採取依頼】

ダンジョン内の特定の鉱物や薬草などを採取する依頼


【雑務依頼】

他の職業の手伝いや代わりを務める依頼


【指名依頼】

指名された冒険者がする依頼

基本的には王国が出すものがほとんどである。

B級から受けるようになり、明確な理由がない限り断ることは出来ない。


【緊急依頼】

急を要したりして時間があまりとれない依頼

基本的には王国が出すものがほとんどである。

B級から受けるようになり、明確な理由がない限り断ることは出来ない。



 早速受けてみたいがもう夜の九時だ、王城にいる分身体も風呂に入り終わって寝ている、本体である自分も早く近くの宿をとらなくてはならない。

 自分の冒険者ランクと同じFランクの依頼を一通り見た後急ぎ足で冒険者ギルドを立ち去る、この世界で宿をとる手順は簡単だ、空いている宿に料金を払うだけで良い。

 ただ冒険者ギルドの前は立地の都合上、冒険者でいっぱいになってしまうため、どうしてもある程度の距離が必要になる。


 宿が立ち並んでいる宿場で片っ端から当たってみる、20分走ったところで手ごろな宿を見つけた、

 二階建ての横に長く他と比べて比較的大きい旅館だった、風呂付、食事は別料金で一泊銀貨10枚日本円で考えたら結構いいところではないだろうか?

 自分の手持ちの財産だと九十泊以上泊まれることになる、とりあえず一週間分の予約を取り、拠点を確保する。


 予約が取り終わると受付のおばちゃんから鍵が渡され、部屋に案内してくれた。

 部屋は寝室ともう一つの計二部屋あり、窓にはベランダがついている、掃除や洗濯は係の者がやってくれるそうだ、これで一泊銀貨10枚は安い。

 試しに布団に寝っ転がってみる、さすがに王城と比べればいくらか劣るが、あそこの布団とは比べてはいけないと思っている。この布団もなかなか寝心地がいい。

 今日一日走り回ったため疲れが出てしまったのか自分はそのまま眠りに落ちてしまった。



◆◆◆




 早く寝たために朝の五時に起きてしまった、この世界に転移してから夜になるとすることがないためにどうも早寝早起きをしてしまう。

 日本にいた頃ならパソコンの疲れでまだ熟睡していたところだろうか。


 夏とはいえ夜明け頃は寒い、ベランダに出ると心地よい風が吹いてきて目が覚めてくる。

 ちょうど朝日が昇ってきた、こんな光景を見るのは正月に徹夜して初日の出を見て以来だろうか? 綺麗な光景を目にして比較的気分がよくなった自分は、今の状況を再確認する。

 自分は異世界のこの王国に召喚された、そして魔王を倒してほしいと頼まれて、言峰を筆頭にクラスは承諾した。

 しかし自分は目立ちたくない。

 魔王を倒すやら、世界を救うなどといった難行は言峰に任せて、その後ろであくまで勇者の仲間Gぐらいのポジションを貫きたかった。

 しかし、何を思ったのか柿本の言葉を真に受け、自分の職業ジョブを偽って報告してしまった。

 今更間違いでしたなんて言えない、だったらみんなより強くなって偽っている職業を演じ切ればいい。

 だから自分は城を抜け出し、昨日ギルドに登録して今この宿にいる。


 改めて考え直すと、今自分が立っている立ち位置の危うさが再確認できる、これは今日の依頼に気合を入れなければならない。


「ステータス」


■■■

【Name】 影山 亨かげやま とおる

【Race】 人間

【Sex】 男

【Lv】1

【Hp】 100

【Mp】 100

【Sp】 20

【ATK】 100

【DEF】 100

【AGI】 150

【MATK】 90

【MDEF】 90


■■【職業ジョブ】■■

忍者アサシン


■■【スキル】■■

<特殊エクストラスキル>

【分身】Lv,1

<職業ジョブスキル>

【偽装】Lv,2

【鑑定】Lv,1

【看破】Lv,1


■■【称号】■■

【異世界人】


■■■


 ステータスのみで特徴を言うとしたら『速さ特化型で、魔法が弱点』という事だ。

 特殊エクストラスキルである【分身】は今使っていて、スキルのレベルが上がって分身できる数が増えるまで使えないだろう。

 レベルを上げるために必要なSpスキルポイントは100だった、つまりしばらくはこのスキルは使えない。

 次に【偽装】、王国を騙すためだけに取ったスキルだが、通常の戦闘においては鑑定持ちの相手を騙すしか使い道がないだろう。

 残念ながらダンジョン内の魔物モンスターたちにはあまり有効なスキルとは言えない。

 【鑑定】と【看破】は敵の強さと弱点は分かるが、いざ戦闘となれば役には立たないだろう。


「こうしてみると、今の自分は結構戦闘向きじゃないんだよな」

 忍者なのに戦闘系スキルや隠密系のスキルがない、これはさすがにまずいだろう。


「となると、まずはSpスキルポイントを取得する手段を考るのが先決か」

 そのためにも残りのSpでそれなりのスキルをそろえないといけない、取得スキル一覧を開いて、とるべきスキルの優先順位を決めていく。


■■取得スキル一覧■■


【二重息吹】Lv,1

特殊な呼吸法で疲れにくくするスキル。

魔法などで使用するMpが減る。

Sp-10


【毒針】Lv,1

毒のある針を敵に発射する、一定確率で状態異常;毒になる。

Sp-20


【隠密】Lv,1

気配を隠しながら行動することが出来るスキル。

Sp-20


【短剣術】Lv,1

短剣を扱うことが出来る。

Sp-30


【自己鍛錬】Lv,1

忍者アサシンが己を磨き上げるスキル。

一定の鍛錬を積むたびにSpが入る。

Sp-50

■■■


 まず【二重息吹】はそもそも魔法を取得していないので今は必要ない、そしてSpスキルポイントの関係上【毒針】か【隠密】しか取れない、

 どちらもなかなか捨てがたいスキルだが、ここは【隠密】をとっておく。

 【毒針】も捨てがたかったが、針と毒は自分で調達する必要があるため回数に制限がかかってしまうからだ。


■■■

スキル【隠密】Lv,1を取得したことにより条件が満たされたため。

新しく【忍び足】Lv,1を取得できるようになりました。

■■■


 どうやら条件を満たさないと取得できないスキルもあるらしい、これについては後でギルド嬢にでも聞いてみることにしよう。







■■■

【Name】 影山 亨かげやま とおる

【Race】 人間

【Sex】 男

【Lv】1

【Hp】 100

【Mp】 100

【Sp】 0

【ATK】 100

【DEF】 100

【AGI】 150

【MATK】 90

【MDEF】 90


■■【職業ジョブ】■■

忍者アサシン


■■【スキル】■■

<特殊《エクストラスキル>

【分身】Lv,1

<職業ジョブスキル>

【偽装】Lv,2

【鑑定】Lv,1

【看破】Lv,1

【隠密】Lv,1


■■【称号】■■

【異世界人】


■■■

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