第15話「少女の選択」

GM:と言う事で、ちょっとシーンを変えてイオス君へ。


イオス:はーい。


GM:セレナスとリザベラとの訓練のやり取りから少し離れた場所で君は夜の闇に浮かぶ星空を見つめていた。


イオス:カランと抜き身の刀が地面に落ちる音がする。

「これがお前が言っていた『弱点』ということか…イクフォード…」

誰に聞かせるでもなく、ただその声は夜の闇に吸い込まれていく。


GM:あの日、あの瞬間まで、友であった者の名を呟く―――。


イオス:「己の弱さを思い知らされてばかりだな…俺は…」

刀を拾い、鞘にしまう。


GM:「…ここに居たのか。イオス」と後ろからロトゥスが現れる。感慨にふける君の背中を見つつもロトゥスは君に向けはっきりと声をかける。

「一つだけ、言っておくイオス。オレは貴様の事を心の底から軽蔑している」


イオス:「そうか」


GM(ロトゥス):「貴様のその呪い、己の意思で無かろうとも貴様が大勢の人間を殺した事実は変わらない。忘れるな、貴様の手はすでに血に塗れている。償えぬほどの罪を背負っている。それでもなお、貴様は生きていくことができるのか」


イオス:ふっと息を吐き。

「この手が背負ったものが罪だけならば、どんなに楽だったろうか…。この手に塗られたものが血だけならば、どれほど安らかだったろうか…」


GM(ロトゥス):「………」


イオス:「俺が背負っているものは罪だけではない。今は俺を縛るいくつもの呪いが、俺を生かし続けている」ロトゥスの横を通り過ぎながら言う。

「俺は心のどこかで願っているのかもしれんな。その呪いのどれか一つだけでもいい、それが…希望に変わることを…」


GM(ロトゥス):「…フンッ、希望か。ならそうなる事をオレも望むとしよう」

そう呟き、ロトゥスもまたその場を去る。


歩きつつ、イオスは心の想いを口にする。


イオス:(俺はそれでも必ず生きろと言うであろう君の言葉を…聞きたいのだろうな…)


月を眺め、その光に彼女の姿を重ねる。生きているかもわからないある一人の―――



◆GMシーン ~少女の選択~

テラスト王国・首都セルドル――。

先日の魔族襲来と大逆人・イオスによって王城の消滅と何百・何千という人達が殺され街の雰囲気は荒み、人々の心は荒れていた。

そんな街の中央広場にて一人の少女が磔とされていた。


GM(街人):「この悪魔の付添い人がッ!!あの悪魔はどこにやったッ!!」

街の人や少女を囲む兵士達は口々にそう罵り、少女へ石を投げつける。

少女――セクエンツィアはそれを無言のまま、全てを受け入れている。


セレナス:Σ 


イオス:ぎゃー!


リザベラ:生きてた。


GM(イルド):「さて、小娘」


リザベラ:やっぱ殺しておくべきだったか。この男。


セレナス:イルド―――!!おまええええぇぇ!!!


GM:セクエンツィアの前にいた副騎士団長イルドは剣を構え、セクエンツィアの頬にそれをぺちぺちと当てる。


イオス:この国もうちょっと綺麗に破壊しとくんだった。


GM:「さっさと言ってもらおうかぁ~?貴様のご主人様はいま、どこだ~?あぁん」

イルドの答えにセクエンツィアは視線を逸らす事なく真っ直ぐ見つめハッキリと答える。

「知りません。たとえ、知っていても私は絶対に言いません」


「…ッ…こ、こ、こ、こ…!」


そのセクエンツィアの答えが癇に障ったのかイルドは怒りを隠す事無く顕にし

持っていた剣を高く振り上げる。


「この小娘があああああぁぁッ!!!」


そう叫び、イルドの剣が振り下ろされる――!


瞬間、その場に血が吹き出した。


GM:血の主は――イルド。彼は不思議そうに自分に空いた風穴を見る。

「あ……れ?」


“どさっ…”


リザベラ:あ、死んだ。


セレナス:ショタ子―――?!!


GM:叫びを上げ逃げ惑う街人達の前に現れたのは――イクフォード。

彼は磔にされてボロボロな状態になっているセクエンツィアの姿を見て、珍しく不機嫌そうな表情をする。


「よお、セクエンツィアちゃん。ひどい目にあわされてるな~」


「…イクフォード…さん」


セクエンツィアは傷ついた顔を上げ、目の前に現れた彼の名を呟く。


「…どうして…助け……」


そう問いの続きを問おうとした時、いつからそこにいたのかセクエンツィアの隣にいた少年が先に答えた。


「別に助けたわけじゃないよ。君にはこれから起きるショーの『賞品』になってもらおうと思ってね」


少年、ペレリウスがそう宣言した。


「…まっ。そう言うわけでさ。悪く思わないでくれよ~」


いつもの軽口で、しかしどこか納得していないような雰囲気を纏わせイクフォードがそう言う。


セレナス:ペレ子めええぇぇー!!(ビクンビクン)


GM(セクエンツィア):「………私に拒否権は…無いんですね…」

己の置かれた状況を把握し、確認するようにそう聞く。


リザベラ:ペレ子が考えそうなことだなぁ。


GM(ペレリウス):「無いよ。さて、それでは早速ショーの準備をしようか」


「イオス=ヴァルムオンド――君へ贈る最高のショーの、ね」


凄惨な笑みを浮かべ、ペレリウスとイクフォードはセクエンツィアを連れ姿を消した――。


イオス:終わったなこの国。

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エスペランサーリプレイ「死の継承者」 雪月花 @yumesiro

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