専門学校時代
第16話 擬きな生活
今 現在の私なら、退学させられた 理由もわかるけど
その時の私には 理不尽にしか思えず、日々 ガミガミ叱ってくる
親に うんざりしながら、家で ふて腐れていた。
訳も わからぬまま、姉の高校の時の 担任の先生宅へ 連れて行かれ
先生の紹介で、個人病院で 働く事になった。
春から 准看護学校へ通い、同時に 通信制の高校へも通って、正看を取る
方法を進められたのだ。全部 取り終えるには、7年かかる事になる。
私は それでも構わなかった。住み込みで 働く事と聞いたので
「家を出れる」 それが 嬉しかったりもした。
勤めた病院(医院)は、ベッド数15床と 透析施設があり。
ドクターは 医院長一人、看護婦6人と看護
うち2人が 看護学校生。事務が2人 と 厨房に2人。
そういう所です。
看護学生は 1人は、正看護学校生・1人は 准看護学校生で、
どちらも 住み込みで働いており。准看護学校へ通う 看護
屋上の部屋に住み。私は 正看に通うD先輩と、一緒の1階の部屋に
住まわせてもらう事になりました。
こんな時期に 高校を中退して、入ってくる奴。
職員の皆は 警戒していたし、私も 塞いだ気持ちでいたから
中々 馴染めない感じ。
やれる事も 看護の勉強も、殆どしてない者に やらせる事が
無いって事で、掃除や事務系の事を 黙々とやるだけ。
ユニフォームも 白衣なんだけど、白いズボンを履かされて
もちろん キャップも被る事も出来ない。看護婦と 間違われない
様にする為だと わかっています。でも お年寄りとかは 構わず
声をかけてきたりして、対応に 困ったりして。
そこまでして 看護婦になりたい気持ちも無かったけど
こうなってくると 早く、普通の白衣が着たくて 仕方無かった。
同じ部屋の D先輩は、私が 中退してきた 高校出身の方です。
部屋の物は 大体揃っているから、持って来なくてイイと言われ
着替え程度しか 運びこまず、間借りしてる感じだから 肩身が狭く。
共有で良いと 言われても、勝手に触れないし。
正看の学校は 夕方からの授業なので、行き違いが多く。
疲れて帰ってくる 先輩に、迷惑をかけてイケナイと 終始
気遣いして、早く寝れる環境に努めた。
週末は 自宅に帰る様になっていたので、D先輩とも
あんまり 仲良くなれる 時間を取る事が出来ず、何となく
孤立した感じのまま、春まで あっという間に、時間が経った。
はれて 准看護学校と通信制高校へ、入学でき
少しずつは 職員の方々とも、それなりに やって来れたし。
何より ユニフォームのズボンを履かないで良くなった。
自分も 今まで、どこまで 手を出していいか わからなかった
看護としての 領域へも、少しずつ任される様になっていって
ちょっと、気も 解れていくようになりました。
准看護学校は 殆どが、高卒の子ばかりだったけど
中卒の子もいたり、中年位の 男性もいたりと、バラバラな顔ぶれ
高卒の子達と ほぼ年齢も変わらないので、中退してきた事など
気付かれる事なく、高校時代と変わらず 楽しくやっていけた。
勉強の方は 大概のところを、高校で習ってきていたので
授業は 寝ていても、そこそこ良い 成績を取れていた。
学校の決まりで 働きながらでなければならなかったので
皆 どこかの病院で勤めている子ばかり、私などは 全然マシな方。
大病院で 早朝から遅い時間まで、日々、オムツ交換に明け暮れる子も
いたりして、学校は 休憩と、愚痴を吐露する場となっていました。
私も 朝7時過ぎには、出勤して。透析の準備をして 患者さんの
血圧を測ったり、透析開始の介助をして。すぐ 外来へ降りて
掃除の手伝い、診察開始になると、外来看護婦の介助。
昼から 学校へ行き、即 夕方に戻り。厨房の片付けをして。
病棟へ行って、やる事があれば 手伝う。D先輩が 帰ってくる
21時前には 入浴を済ませて、疲れて寝る。
土日は 基本的に、自宅に帰り。月に1回程度は 通信制高校の
登校日があるので、それに通い。 また 病院へ戻るという日々でした。
とある 日曜日。
いつもより 早めに、病院へ戻り 部屋に入ろうとすると。鍵がかかっており
あれ?D先輩居ないんだ。っと思って、鍵を開けて 入ると
D先輩が居られた。あっ 寝ておられたんだな、っと思ったけど
何だか いつもの部屋の感じと 違う感じ。
真ん中に置かれてた 共有の机が、端に寄せられていて。
2段ベッドの下が D先輩のベッドなんだけど、布団とかが
床に下ろされていて、乱れた感じ。
部屋の空気も 何かわからないけど、淀んだ感じがした。
「帰ってきたの?」と 先輩。
『はい。寝ておられたんですか、すみません。』
「いや 別にいいんだけど…」
持って帰ってきた、洗濯物とかを 片付け始め
なんか 様子がおかしい先輩に、何となく 気まずくなって
隣の厨房へと行った。厨房は 日曜でも、病棟のご飯を
出す為に、誰かが 出勤しているから。
しばらく 厨房で、調理師のKさんと 話して
部屋へ戻ると、いつもの感じに 整えられていた。
D先輩も 普段通りになっていたから、良かったぁ
っと安心して、その日は そのまま休んだ。
その日から そんなに経ってない日に、D先輩から
「I君と 付き合ってるんだ」 と 知らされた。
I君とは 同じ病院内で、准看護学校へ通う 屋上に住む
看護師を目指す人だ。
主に 透析室とレントゲン技師として、働いておられて
朝の 透析の準備で、一緒になる事が多いし。ひょうきんで
病院内を 楽しくするから、『ちょっとイイなぁ~』と
思い始めてはいたので、ほんの少し 残念だった。
でも!
あぁ~ あの日の、部屋の違和感は ひょっとすると
I君と そぉいう事を、あの部屋であった後?もしかすると
あの時点でも I君は、部屋に居たのかもしれないのかも?
とか、色々 思いめぐらしてみたりもして。
まぁ 別に、私には 関係無いし。
そっか そういう事もあるから、気を使ってくれって事か
っと、理解して。それから 後は、帰宅する前に 戻る時間を
知らせてから 帰る様にした。
D先輩も 恐らく、それから後は 部屋でっていうのは
無かった様に思う。
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