第15話 初体験

 H先輩の事で 益々、男性不信に陥り コリゴリと思っていた頃。

(近所の)sちゃんから、夏休み 去年と同じ

精肉工場での バイトに誘われた。

『わぁ~♪ またTさんに 会えるぅ』 と

男性は 懲りたはずなのに、夏休みになるのを 心待ちにした。


 バイトへ行ってみると…

Tさんが 見えない。もしや?と 思って、ロッカーを確認すると

Tさんの 名札が無い。えぇえーっ?!

 帰って、Tさんの家へ 電話をしてみたけど、出てくれない。

一気に バイト熱が冷めて、ダラダラ 作業をし、2週間 勤めた。


 バイトが終わって しばらく経った頃、電話があって。

Tさんだった。「今日 出れる?」と。

喜び勇んで 飛び跳ねる様に『出れます!』と返事。

 大慌てで 準備、今度こそ 勝負下着を身に着けて。


 Tさんは 相変わらず素敵で、白のY30での お迎え、カッコイイ。

 聞くと Tさんは、春に 精肉工場を辞め

本格的に 料理の修行をする為に、親戚の店で 働いているとの事。

いずれ 自分の店を、持つ予定なんだそうだ。

『すごいなぁ~』っと 感心。


 車は 一路、海の方面へ。ゆっくり港の方とか 周って、喫茶店へ。

他愛もない話をしながら、でも 私は、すっごく嬉しくて♪

 ふと Tさんが 「ビデオ見る?」と 尋ねてきた。

当時は 各家庭に、って程 ビデオデッキが普及してなくて。

我が家にも あるにはあったんだけど、父が操作を 独占してて

全く 触らせてもらえてなかったから、『うん!見るみる~』と。


 お店を 出て、しばらく 走らせたところで

長い大きい暖簾をくぐった所に 入った。

両サイドには シャッターがある。モーテルという場所だ。

 てっきり Tさんン家へ 連れてってもらえるものと

思っていたから、ちょっと 驚いたけど、直ぐに そういう事なんだ

と 理解した。


 促されるまま 部屋へと上がり、Tさんは 慣れた感じで

さっさと 入って行って。冷蔵庫を 開けながら「何か飲む?」と。

答えられない 私を見つつ、何かの缶を 取り出してる。

 2間続きの部屋の作り、手前の間には ソファーセットと テレビ等。

低い仕切りがあって、その奥の間の 左側が浴室、右側がベッド。


 どこに どう居れば良いのか、躊躇して 出入り口から

上がった所で 立ちすくんでいると、Tさんは 構わず

奥のベッドへ行って デーンっと 寝転ばった。

 それでも そのまま居る私に、「入ってくれば」と。

オズオズと ソファの端っこに座る。


 Tさんは リモコンを使って、テレビを見だした。

「こっち来れば?ビデオ見るんでしょ?」と 声かけてきた。

ここで 怖気づいてては、イケナイと 覚悟を決めて

ベッドへ行き 腰を下ろした。

「おいでって テレビ見難いでしょ」と、引っ張って 自分の横に 寝かせられた。緊張して 体が固まったまま、全く 顔が上げれない。

 テレビでは 「あんあん」喘ぎ声がして、声しか 聞こえないけど

『ビデオって、この事だったんだ~』っと、あまりの恥ずかしさに 益々、身を縮込ませて うつむいて。


 「シャワー浴びよっか」

!! げっ キター!!


 言われても そんなすんなり『はい』なんて…

「どうする?先 浴びる?」 いやいや 全くもって

どの状況も 初めての事ばかりなんだもん。

軽い感じで 言われたって、答えるどころか 身じろぎも出来ない。


 そんな私を ひょいっと越えて、さっさと シャワーを浴びに。

脱ぎながら 「一緒に入る?」 いや だから無理だって~

 浴室からは シャワーの音。

どうしようかぁ と 重い身体を、ゆっくりと 起こし、茫然とする。


 あっと言う間に 上がってきてしまって

腰に タオルを巻いた感じで、即 ベッドに入ってしまった。

しばらく 多分、私の様子を

伺ってたんだと思うけど、動かないから

「シャワー入ってきたら?」と。

それでも 動かないからって、動けないんだけど…

「入らないの?」っと、ちょっと 怪訝な声になってきてる。


 いや 初めてなんだから、シャワーは浴びたいよ。

『は・入ります』と 答えて、ゆらゆらと 浴室へ。

きちんと 脱いだ服を畳んで、シャワーをする。

念入りに 身体を洗って、長く息を吐いて。

 出てみると… 畳んでおいた服が無い。

そぉ~っと ドアを開けると、向こうのソファの上に 

服が置かれてる。『服が…』と呟く。


「そのまんま 出てくれば、イイやろ」

えーーー! そんなぁ~

折角 こういう時用にと、あの お気に入りのパンツも

ブラもしてきたのに… ンなんじゃなく 恥ずかしいよ、、、

モゾモゾしていると 「こいって!」って

また ちょっと声のトーンが落ちてる。


 仕方なく バスタオルを巻いて、なるべく 

見られない様に、屈みながら 掛布団の下に潜り込む様に

ベッドの端から入った。

「ビデオ見るんやろ」っと ググーっと、引っ張られ

そう言ったわりには そのまま、覆いかぶさってきて 

キスしながら、早々に タオルを剥ぎにかかってる。


 あぁあ ちょっと残念。お気に入りの ブラと

パンツじゃないなんて。とか、頭の 片隅に思いながら

それと 品祖な胸が、気になったり。

 とにかく 緊張していて、後は どんなだったか

定かに覚えて無いというのが、正直なとこ。


 だけど 他人に、触られていない所に 顔が近づいていった時の事は

わりと覚えてる。エロ本で 何度も見ていたシーンで、オナニーの指で 

気持ち良くなれているんだから、舐められたら どんなにかいいんだろうっと

すごくドキドキした。しかも Tさんがそうしてくれてると思うだけで

もうイってしまってる位だった。


 挿入も ちょっと怖かったけど、大好きなTさん だからイイ。

「はじめて?」と 尋ねれらたけど、答えられなくて。

どんだけ痛いんだろう と 身構えたけど

想像していたより 痛く感じなかった。

 下腹部のソコだけが やたら熱くて、異物で 

支配・捕えられてる感じ。痛いけど 我慢出来ない程じゃない

でも 動いてはほしくなかったかも。

 『あぁ 私、これで本当に、処女じゃなくなったんだ』と

気持ち良いとか そういうのは、全く無く。

ただ 事が終わるのを じっと待ってる、そんな感じだった 気がする。


 Tさんは 果てると、また「はじめてやったの?」と 尋ねてきた。

やはり 答える事が出来なくて、そのまま居ると。即 シャワーへ。

 ほぼ身体が 動かせない私は、布団を被るのが 精一杯。

直ぐ 出てきた、Tさんは 向こうの部屋へ行って

タバコを吸い始めたりしている。


 「出るよ」と 言われ、私の服を 投げてきた。

えっ?っと思ったが、こういう場所が 時間制である事を

知っていたから 長く居れないんだろうと 察して。

痺れる身体を 懸命に動かして、ベッドの中で 何とか 服を着る事が出来た。

 ベッドサイドに 立ち上がると、もう 清算し始めてる様だった。


 私は これだけは、確かめておきたい と

一旦 掛布団を ワッっとめくって、その辺りを 見てみたけど

赤くなってる様な所は 見当たらなかった。

一瞬の事だったから もっと確認したいと思ったけど

Tさんの動きが 気になって、よくわからなかった。


 自分は そんなにスポーツしてきた訳ではないのに

『私って 出ないタイプだったんだぁ』と思った。

当時の 私達の間では、そういう風に 言われてたんです。

運動部系の子は 破瓜の時、出血しないって。

『Tさんは どう思ったんだろう』とか それが気になった。


 帰り道は 殆ど会話も無く。

少し痛む 股間の部分に、振動が伝わるのを 避けて

しきりに お尻に力を入れながら、早く着かないかとばかり思ってた様に思います。

ちょこっとは 『Tさん 私で、気持ち良かったのかな?』とかも

気にしたかもしれないです。


 帰宅してから また、平静を保たないと っと過ごしたつもり。

 当日より、翌日からの3日程が 痛かったのを覚えています。

もちろん 学校で グループの子に、自慢げに話して キャキャッは

したけど・・・


 それから 


Tさん家に 何度電話しても、Tさんは 出てはくれませんでした。



高2の 夏休みの終わり頃の話。



ーーーーー


 この後も Tさんの事は、益々 引きずってしまって…

ずっと 忘れられないまま。


 夏休みが明け 修学旅行 や 戴帽式、病院実習と 

学校での生活を 送っていたのに… とんでもない 理由で

高校を中退しなければならない事になる。

 とても 特異な例なので、これは 伏せさせて下さい。

2学期の 期末試験の前辺りの事です。








 





  




 

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