第9話 本当の告白
ある夜 家電に出てみたら、男の人の声で
姉に替わって欲しいとの事だった。
姉は 高校1年生になっており、どうやら その男性と
付き合い始めた様だった。夜毎 長々と電話して
母に 注意されたりしていたし。家の近くで 2人で
話しているとこも 見た事がある。
姉の彼氏は 中学時代の同級生。別々の高校へ 進んだものの
恐らく それがキッカケで、付き合い始めたみたいだ。
身長が 180cmある、姉の彼氏は 大人びて見えた。
いつの時だか 2人で居る所に、ばったり出くわして
姉から 紹介された。その場所が 2人の落ち合い場で
何度も 見かけた。私の 帰り道でもあったから
彼が 一人で待ってる時など、挨拶したりして 少しずつ
打ち解けて 話す様にもなったりした。
姉は 彼の事を 「おにぃちゃん」と呼んでいた。
姉は 身長が低く 彼とは 言うに、30cm程 差があり
バスケをしていた 彼は、遠くからでもわかる位
体格が良く。多分 長女の姉は、お兄さんと言うのに
憧れていたんだと思います。
いつしか 私も、おにぃちゃん に惹かれていく感じが…
見かけたら 私とも、優しく話しをしてくれる。
姉からの話でも 楽しそうで、あんなに 松田聖子が
嫌いだったのに、貸してもらったとかで、聞いている。
確かに おにぃちゃん は、イイ人で 素敵です。
けど
多分… これは 私の悪い癖。
姉のモノを 何でも欲しがる。
3つしか 年が離れて無くて、親からも いつも誉められていて
適度に 色々とこなす。特に 非の打ち所が無い 姉。
それに 引き換え 私は、自己主張が 強く、行動も 乱暴で
家の手伝いも ロクにせず、怒られるのは 私ばかり。
姉を 慕う気持ちもあるけど、幼いながらも どこか
ライバル心を 持っていたんだと思います。
一足先に 情報を手に入れ、堅実に 貯金して、欲しい物を 買って。
と、楽しんでいる 姉に、羨ましがって 泣いて、ソレを 欲しがり
自分の物にしないと 気が済まない。
そんな事を 繰り返していた、それに 近い感じで、
『私も おにぃちゃん が欲しい』と思ったのは、否定出来ません。
勝手に おにぃちゃん が、よく立ち寄ると言う 喫茶店の前で
待ってみたり。何かと おにぃちゃん に会える様にして
ちょっとでも 話そうとしてました。
それとなく…
おにぃちゃん の 気持ちを、探る様な事もしてみた。
でも おにぃちゃん の、姉への 気持ちは堅く、全く 私の事等
眼中に無い。ただただ 妹ってだけな様だ、、、
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『おにぃちゃん イイなぁ』
と 思い、時折 会えるのだけでも、わりと 嬉しかったから
おにぃちゃん への気持ちを持ちつつ…
ふっと 目に留まったのが、2つ上のT先輩。
どことなく おにぃちゃん に、似てる感じがした。ただ それだけで
好きになってしまってた。
先輩の事を 調べ、何とか 接触出来る様に、色々と 画策した。
あんまり 近付ける事は無かったけど。
周りの 皆も、彼氏が 出来たりして、私も 誰か居ないと
遅れてる 感じがして、焦りもあって。
とある放課後
帰る先輩を 待ち伏せして、いきなり 告白してみた。
全然 カッコつけた感じでも無く
『先輩 好きなんです。付き合って下さい』
ってな、言いっぷりだったと思います。
すると T先輩、びっくりはしてた様だけど、あっさりOKしてくれた。
初めての 告白が、こんなで 拍子抜けした。
中学の 交際など、何をするでも無く。帰る方向も 違うから
一緒に帰る事ないし。アンケートの手紙を書いて 渡したり
電話して 話す。それ位のモノ。
やっと 映画へ行く約束を取り付け、映画へ行ってみた。
何の 映画だったかも覚えていないけど、恋愛系の映画だったかと思う。
人気の映画で 周りは、カップルだらけ。
ドキドキしながら 席について、暗くなったら…
ハッ!
右隣は 先輩、左隣は 知らない男性。両サイドの 肘掛が取られていて
そこで 初めて、どっちも 男なんだ と、気が付いた。
その途端 全身に震えが走り『怖い』と思った。もう それからは
映画どころでは無くなって、本当に 何も覚えて無い。
映画が 終わって、外に出て「 他も 何処かへ行こう」と言われた
気がするけど、気分が 悪くなってしまっていたから
そのまま 帰ってきた。その時 お気に入りのマフラーを
落としてきてしまって ショックだったのだけは、記憶にある。
その後は 元々、先輩の事を 良く知って、付き合った訳でも無かったし
好きだったのか どうかも、はっきりしなかったから。連絡も しなくなり。
先輩も 同じ感じだったのか、自然に無かった事になっていった。
ただ これで わかったのは、私は 男性恐怖症なんだと言う事実。
中学1年の冬の話。
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