第7話 トラウマ

 そんな オナニーに励んでしまう私も、小学5年生になりました。


 初恋の M君とは、違うクラスになっていて 寂しく思うけど

全く会えない訳でもないので、ほのかな想いを抱いたまま。

 Kちゃんと遊ぶし、相変わらず 近所の男の子とも

ヒーローごっこをやったりして、男勝りは健在。


 この位になると 男子も女子も、私の様に おませさんが 

ポツポツと、表に 顔を出てくる様になってきていた。

 女の子の中でも 胸が膨らんできて、ブラをする様な子も。

その胸を目当てに あからさまに触ったり

エッチな話をする男子も 現れてきて。

 私は 体格が良い方だったので、多少 膨らんではきていたものの

ブラをする程では無い感じでした。


 給食の時、トレイを持って 列に並んでいたら、後ろから

ペロンっと、胸を触られた。T君だ。

 T君は 常習犯で、スカートめくりもしたりして

女子からは 嫌われていたけど。反面 ハンサムだったからか

何となく 許されてしまっているところがあった。

 N君も 同じ事をしてのに、N君は キャラクターなのか

呆れられていたっけw



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 その日 私は当番でした。当番は2人だったけど、相方は 

バドミントンの練習があるからと

「後、当番日誌だけお願い」 と言って、先に帰ってしまった。


 教室には クラス委員長と副委員長の、男子2人が 

委員会の話し合いをしていた。

委員長は あのT君。副委員長は Y君。

 放課後のクラスに 私を含めて3人だけとなった。


 横2台ずつの列が 三列並ぶ、真ん中の 

後ろから2番目の左側の席が、私の机。

クラス委員の2人は 出入り口側の、一番後ろの2台の机で 

コソコソ話をしていました。

 別段 気にも留めなかったけど、フっと T君が

私の左側の通路を歩いてきて、すれ違いざまに ペロっと

胸を触って 通り過ぎた。

 ビクっとして 顔を上げはしたけど、何事も無かったかの様に 

黒板の方に 歩くT君に、私は 『また いつもの事か』っと思って。

 もう日誌を書き終えれるし と、関知せず そのまま反応しないで、書き続けた。


 すぐさま 書き終えれたので、先生の机へ 日誌を置いたと同時位に

前の出入り口から 廊下を通って、後ろの出入り口から戻って、

Y君の横に来た T君が

「胸 触らしてくれよ」

と 私に向かって言っている。

『何をふざけて さっきも触ったじゃない』と思って 2人の方を見ると

明らかに さっきとは表情の違うT君の顔付きに、恐怖心が 湧いて。


 ダっっと 前の出入り口から、飛び出して 女子トイレの方へ。

同じ様に ダッシュして、後ろの出入り口から 追っかけてくるT君。

 怖くて トイレに逃げ込んだけど、物凄い力で ドアを押してくる。

懸命に 入れまいと、押してみるけど あっけなく

 押し開けられてしまい 入ってきた。

ジワジワと 洗面台と洗面台の間の壁に 追い込まれ

ガバっっと 胸を鷲掴みされて

そのまま T君は、トイレから出ていきました。


 私は ヘナヘナと、腰が抜けて その場にしゃがみ込んでしまい。

何が起きたか わからず、しばらく 茫然としていました。


 ショック状態だったんですね。


 実際には そんなに、時間が経ってなかったと思うんですが。

どれだけか そのままで居て、こんな事していては イケナイ帰ろうと

トイレから出ようとしたら、また 恐怖心が襲ってきて、出れない。

 そんなこんなを 何度か繰り返して、何とか トイレからは出れたものの

教室には まだT君が居るかもしれないと思うと、ランドセルも取りに戻れない。


 そぉ~っと 階段を下り

2階の 調理室を覗くと、料理クラブが終わって、片付けを

しているところの様だった。先生も いらっしゃらず。

丁度 隣の家の、1つ年下のmちゃんが出入り口近くに居て

私に 気付いてくれたから、扉の外から 手招きで呼んで。

 一緒に 上の階へ来てくれる様にお願いして、付き合ってもらった。

訳がわからないまま ついて来てくれた、mちゃんと 

恐る恐る 教室を覗くと、T君も Y君も、居なかった。

 安心して ランドセルを取り、mちゃんのクラスにも寄って

一緒に帰ってもらったけど、家に 帰ってからが

気が抜けたのか 猛烈な怖さが、蘇って、部屋の片隅に 蹲って泣いた。


 家の者には 心配かけまいと、普通通りに 振る舞ったつもり。

娘の異変に 気付いてはなかったと思う。

 だけど 翌日、起きようとしても 身体が重く

何をするにも 力が入らない。とても 学校に行く気にならないけど

熱がある訳でも無いから 親は、休ませてくれない。

 塞いだ気持ちで学校へ。 


 教室に入るのも 躊躇したけど、立ちすくんでいても 

怪しまれると思って、何とか 席に。

 周りの様子など 見れもしない。教科書を 机に片付けて

ランドセルを 後ろの棚へと立ち上がると。男子が ふざけ合って遊んでる。

 急に T君が、昨日の事を 言いふらして

皆が あの事を知ってる様な気がしてきた。

膝が ガクガクして、前に進めない。

それに 私の棚の前に、男子が居るから 怖くて恥ずかしくて。

 始業のベルが鳴って 先生が来るまで、立ったままだった。


 それまで 授業中、よくわからないでも 手を上げて

発言できていた 私でしたけど。

それ以来 クラスの皆が、私を 笑ってる気がして

 何より T君に見つかりたく無い、目を付けられたくないと思う様になり。

休む事は無かったけど、あんなに 男勝りだったのに

全く 目立たない様に、暗く 学校生活を過ごす様になっていきました。



 かなり成長してから わかるのですが

これが ショック状態からの トラウマとなります。

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