Pert.20 スリーサイズ探偵部+プラス

「あん時のヒロシの血迷ちまよいっぷりはハンパじゃあなかったよね?」

 俺たち新聞部の部室で、イタズラっぽい目をして、ふいに真美まみが言い出した。

「そりゃあ、真美は俺のツレだし、生まれた時からずーっと一緒だったんだから心配くらいするさ」

「あんなに取り乱すくらい、わたしのことが好きなんだと分かって嬉しかったよん」

「ちゃうわい!」

 口では否定したが、真っ赤になった俺の顔がそれを認めていた。

「おまえに弱みを握られてるし、ホントはどっかへ消えて欲しいくらいだぜぇー」

「弱みって?」

 キョトンとした顔で真美が訊き返した。

「……ほら、そのう、五年生の時に俺がオネショした件だよ」

 俺は声をひそめて言う、ここは新聞部の部室だから――。

「オネショ!?」

 なのに、真美が大声で復唱ふくしょうした。

「シィィィ―――!」

「ああ、あれね。……思い出したわ。寝ぼけたマー君がトイレと間違えて、ヒロシの布団におしっこしちゃった件ね」

「ぬあにぃぃ―――!?」

「その後、目を覚ましたヒロシの慌てようったら笑える――。ずっと勘違いしてたんだ。急にあたしに対して卑屈ひくつな態度を取るようになったのは、そのせいだったの? うふふっ」

「俺のトラウマだったんだぞぉー!」

 あれは弟のマサシがやったことか? 

 今まで弟に罪の意識を抱いていた俺はバカだった! 家に帰ったら、有無うむを言わせず、マサシを一発殴ろうと俺は決めた。


「お二人さん、なんの話?」

 草太がこっちを見て、笑いながら訊ねた。

「聞いてくれ! 俺は今まで真美と弟に騙されていたんだぜぇー」

「あらっ! 騙したなんて、人聴きの悪い! ヒロシが勝手に思い込んでいただけでしょう」

「俺の青春を返せ―――!」

「ヒロシのバーカ!」

「真美! おまえもマサシも許さねぇ―――!」

「お二人さん、ケンカはダメです!」

 時々大魔神だいまじんに変身する、平和主義者の草太に言われた。

『ケンカ、デキルノハ、ウラヤマシーイ』

 新入部員のツインテールにも言われた。

 俺たちスリーサイズには、西野千夏にしの ちなつさんの姿が見えるんだけど、葛西かさい先輩には気の毒なことに千夏さんが見えないんだ。

 幽霊の千夏さんはタクミが心配なので、まだ成仏したくないらしい。

 そいうことで、我が新聞部に席を置くことになった。新しい部員(幽霊部員)を迎えて、さらに変幻自在へんげんじざいにパワーアップしたのだ。


 スリーサイズ探偵部+プラスの活躍に、乞うご期待だぜぇ!



                     ― おわり ―

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スリーサイズ探偵部 泡沫恋歌 @utakatarennka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ