過去作がなぜイカンのか、考察開始。

 人によっては何がダメだと言ってるのか解からないかも知れません。別に問題なく読める人も居るのは解かってるんですよねぇ~。


 片方でぜんぜんダメだと思う人と、面白いよコレと思ってくれる人が居るのは解かっているんです。読解力というか、慣れというか、許容範囲の差というか。


 文学文芸がメインの読書傾向にある方ほどダメとなっていき、Web小説がメインの読書傾向にある方ほど面白いになっていくはずなんです。読めるんですよね。

 なんでそんな差が出るかというと、『暗黙の了解』がWeb小説では幅を利かせるからですけど。


「チョーウケる、チョーヤバい!」

 これは若者文化を共有している者にしか通用しない言語で、圏外の者が聞いたら何を言っているのか解からない。それと同じ現象です。

 

 Web小説というものも、その文化をまず理解する必要があり、入門から始めねばならない面倒さが敷居となっていたりします。だからネットで小説を読む習慣のない人に勧めてみても、結果は芳しくないわけです。

 彼らは心の中で、「まず文章を読めるレベルにまで上げてくれ、暗号解読かよ、」と思っています。どんなに面白いからと薦められても。


 Web小説に慣れている読者は、自分が無意識に暗号解読コードに照らしてその作品を読み込んで、脳内で標準語に展開し直しているという事に気付いていないのです。


 例題に挙げた私の過去作はある定型のWeb形式をしています。二次創作から小説執筆に向かった作者の書き方です。お約束が非常に多く含まれており、その世界のルールを知らない者には読めたものではない書き方です。女子高生の間で流行ったギャル文字くらいには特殊な書き方です。使ってる本人たちは気付かないんですけど。


 テンプレ作品にはテンプレコードというべき暗号のキーが含まれており、二次出身には二次コードというべきキーが含まれており、それがまたダブルで作品に表れてしまう作者というケースもあります。


 そういう暗号を知らない読者に解説するなら、私の例題作品、小説内で場面がます。ぶつ切り状態で、いきなり前置きなしにキャラが喋ったりして、読者を混乱させているはずです。

 キャラの容姿を書くにしても、思いついたから書いたというのが丸解かりで、必要にかられての書き方ではありません。背景などもまるで書いていませんし、読者をナビゲートしようという気遣いは感じられません。


 読者のことを考えているなら、「ここで容姿の描写を入れるとテンポが崩れて、読者はつっかえてしまうかな?」とか「こういう容姿の書き方だと緊張が削がれて、読者が冷めるかも。」とか、そういう心遣いをしながら書くのが本当ですから。


 なので、容姿の描写一つ取っても、馬鹿の一つ覚えのように「アーモンド形の目には云々かんぬん」などと言った定型文しか使えないというような事にはならないはずなのです。容姿描写の方法など今ぱっと考えたって軽く三種類は出てきますよ。


 読者に対してすごく不親切な書き方をしているから、多くの読者には読みづらい文章なのです、例題の私の作品は。(よくこれがなろうの日刊に載ったもんだ)


 そして、こんな作品でもランキングに載ってしまえるSNSというのは、それだけ読者層も特殊に偏り、一般的な読者には魔境と映る場所だと言えるわけです。

 他人事じゃありません、カクヨムだって刻一刻とに近づいていると感じてますからね。


 日本語を使役する人々は、この日本語が外の世界では通用しないことくらいは知っていますが、どのくらい多数に通用しないか、言い換えれば自身が井の中の蛙であるかを正確にイメージは出来ていないと思います。地球儀を思い浮かべて、その中でカケラみたいに浮かんでるちっぽけな島国限定の言語ですよ。それとWeb小説言語は同じです。


 入門編をどこかで読み、それに魅了されて深入りしてWeb小説に辿り着いたという読者に限定されてしまうはずで、特殊なモノがアングラ化していくのと同様に、ネットのSNSが誘蛾灯のように彼らを惹きつけるわけです。

 だから、一見、ネットだけを見ればWeb形式が隆盛を誇るようにも見えるわけですが、ネットのカウンター数というのもこれまた特殊な数字で、んですよね。


 ネットゲームをやってる人ならご存知でしょう。登録数100万突破!とか謳ってるタイトルだって、それは色々な合算でしかなく、実際にプレイしてみると閑古鳥だというのはよくありますからね。


 サブ垢って奴とか、登録しただけとか、まぁ色々です。

 その数値はアテになりませんよ。



 ここから先はオマケ、カクヨム運営さんに向けた老婆心的独り言です。


 なろうというSNSは、なろう小説あるいはテンプレ小説という一つのブランドを作りました。それが一つの商品ブランドとして成立する程度には固定の客層を形成する事に成功したわけです。だから今、どんどん出版されています。あの形式の小説が好きだというファンは、Webだとか紙だとかの区別はもはやありませんから。

 ただし、このなろう形式というのは、おそらくですが若者文化全体から見ればもう過去の話となっていると思います。


 カクヨムで次の主流がきちんとトップを飾っているなら、なろうと同じ道を進むだけの話でまことにけっこうなわけですが、の状態になったら、カクヨムはジリ貧で潰れますからねー?

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