「冒頭」つかみはOK!?

「冒頭」「序盤」「本題」「承認」「葛藤」「転換」「打開」「山場」「終幕」


 小説の一行目から始まる三行から二十行、これを私は冒頭と見なしています。ここの役目ははっきりしていて、「つかみ」です。読者の興味を引く部分。ラノベなどはここが独立した部分である事が顕著で、まるで本編と無関係なエピソードを持ってくるなんてしばしばじゃないですか。


 ラノベの、特になろう系テンプレ作品などによく見られる冒頭はとても長くて、2ページ3ページに及ぶ場合もありますが、多くは後に出てくる「本題」とは関わりないケースが多いと感じます。

 異世界へ舞台を移す為の方便が語られる場所、という、テンプレ系独特のメソッドが確立されているのかも知れません。


 小説の書き方のセオリーとしては、一つの核心を巡って物語の始まりから終わりまでが描かれるものなのですが、程度の問題があるわけです。


 なろう系テンプレ小説の場合、いきなり主人公が死ぬ場面で始まる事も多かったのですが、それが後の物語に深い陰を落とすなどという事はほとんどありません。死という、とても大きな事件を起こしておきながら、です。

 これが文学や一般的な小説なら、こんな扱いは許されないでしょう。「核心」を巡る出来事として捉えた時に、程度問題で軽い出来事だから扱いも軽いわけです。


 それはつまり、この冒頭エピソードが、そのテンプレ小説においては核心である「本題」にはほぼ無関係である、つまり「冒頭」と「続くストーリー」とのつながりの希薄さを表出している事になるわけです。


 ならば、「本題」に繋がるための「始まり」のパーツが別個で必要になります。それが、「序盤」となっています。

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