第31話 偏り

 最近、ショッピングセンターで食事をすることが多い彼女…。

 正直、フードコートは好きじゃない…なんか落ち着かない。


 隣の市まで車で移動…40分、食事の前に食わされたもの…。

 ランチパック(ハンバーグ1個)・おにぎり1個、食べかけのモンブラン。

 フードコートに着くころには小腹は満たされていた。


「アタシ、スタバ行くから、先にオムライス頼んどいて」

 僕から1,000円貰って、スタバに向かう彼女。

 子供がお祭りのときに、お小遣い貰ったときのようだ…と思った。

 食欲が無い…ままにオムライスとご所望のポテトを購入した。

「ポテト、なんか、かかっていたのがいい…なんでもいいけど…」

(なんでもよくないんだろうな~)

 悩んだあげく…お好みソースにした。

 たこ焼きは食えるわけだし…お好み焼きも食えるだろう。


 しばらく待っていると彼女がフードコートに表れる。

 まずコレ食べて…差し出したのはウインナー3点セット、ポテト付き。

 ウインナー1本を、ひとくち食べて僕に差し出す。

 ガサゴソと袋から、納豆を取り出して1パックあっという間に食った。

 オムライスを、ひとくち食べて僕に差し出す。

 先ほどのランチパックの残りを差し出す。

 自分は硬揚げポテトチップを食いだした。


(芋ばっか…)


 ポテトが食べたいと思ったら1種類じゃダメなんだな…何種類かの芋を少しずつ食べたいのだ。


 なぜに、そんなに偏食なのか…。


「口内炎できた…」

 唇をめくって僕に見せる…。

(うん…解る…偏食だよ、原因は…)


 僕の手に何か擦り付けた…口内炎の塗り薬だ。

「つけ過ぎた…」

 食い物でもなんでも…余ったものは、僕に差し出すんだな…。

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奇人の磁力は馬鹿を引き寄せるようで……。 桜雪 @sakurayuki

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